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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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電車にて。
前にいる男性の窓が全開になっていた件について。

こんばんは
フェルゼです。

クリスマス…
間に合わなかった…。
用意はしてたんです。
というか、しようとしたんです。
まぁ、何言ってもいいわけですね。
うん、反省したら、気持ちを切り替えよう。

もしかしたら、年内最後の更新になるかもしれませんので、一応言わせてください。
今年一年、皆様には拍手をいただいたり、コメントをいただいたり、訪れていただいたり。
本当にお世話になりました。
よろしければ、来年も付き合ってやってくださいな。
では皆様、よいお年を。

ということで。
微妙なテンションで挙げさせていただくのは、これまた微妙なブツ。
えー…
感情の向きとしましては、
なのはさんxフェイトさん←ティアナさん?

お付き合いいただける方は、以下からどうぞ!






 ギシリ…

 スプリングが、軋んだ音を立てた。



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 「ティアナ…」
 ベッドの縁に腰かけて、金色の髪の女性が呟いた。
 湿ったような、気だるいような空気の漂う部屋。
 「…はい?」
 金の髪の女性の手を掴んだまま、もう一人の女が答えた。
 「もう、やめにしない?」
 目は、壁に向けたままで。
 ベッドには視線を向けないままで。
 「そう、ですか…」
 だから女も、そのままの姿勢で答えた。
 「最近になって、後ろめたくなってきました?」
 詰問する口調ではなく。
 どこか独り言のように。
 「…なのはは、疑ってないよ」
 薄明かりの部屋の中。
 表情は見えなくとも、その口調から容易に判断が付いた。
 自嘲。
 「そうですね…なのはさん、いい人ですから」
 揶揄するようなものでもなく。
 女の口調は変わらない。
 「うん…だから、なのはの真っ直ぐな目で見られるたびに…辛いんだ」
 表情の変化は体に伝わって。
 だから、女は手の力を緩めた。
 「ティアナのことが嫌いになったわけじゃないよ…ただ…」
 「ただ、なのはさんの方が大切だったんですよね。それに今は、ヴィヴィオも」
 何気ない口調で。
 けれども、女性の腕を離した指は、女の少し上気した肌を強く掴んでいた。
 「ごめんね…」
 女性が視線を向けた。
 「別に、いいですよ。別れましょう」
 幾度となく見てきたその深紅が、今は別人のもののように見えた。
 いや、別人でいいのかもしれない。
 もう二度と、このような形で交わることはないのだから。
 「じゃあ私、そろそろ行かないと…」
 女性が腰を上げた。
 「さようなら」
 身支度をする女性に、背後から声をかけて。
 女は背を向けた。

 シュッ…
 いつもは気にもしない扉の閉まる音が、いやに大きく響いた。



 「仕方、ないよね」
 部屋に一人残されて、女が呟いた。
 「なのはさんがいるんだもん…私なんか、敵わない。うん、わかってた。だから、大丈夫」
 目を閉じて、小さく、何度も頷く。
 「大丈夫、大丈夫。私は…大丈夫…」
 繰り返す言葉。
 耳から入るそれに自分を合わせようと試みる。
 「大丈、夫…」
 けれど、騙しきれない自分が。
 偽りきれない想いが。
 「大丈夫だって、言ってるじゃない…」
 涙を溢れさせる。 
 「平気でしょ?わかってたんでしょ?こうなることを知ってて始めたんでしょ?」
 ぽたりぽたりと、シーツの色を変えていく。
 「ねぇ、ティアナ=ランスター…!」
 『焦った時ほど、冷静になるように心がけようね。
  難しいとは思うけど、心がけるだけでも変わってくるから』
 女の脳裏によみがえる声。
 執務官という職で気を付けていることを聞いた時、女性が答えたことの一つ。
 あの言葉を借りるなら、今がきっと冷静になる時なのだろう。
 でも。
 けれども。
 「そんなこと、できない…。
  できませんよ…フェイトさん…!」
 女は女性の名を叫んで、ベッドに拳を叩きつけた。

 スプリングは、軋んだ音一つ立てなかった。



 翌日。
 フェイトの執務室。
 終業時間を回って久しいが、フェイトの仕事が片付く気配はない。
 それはもちろん、もともと彼女に割り当てられた仕事量が多いという理由もあるのだが、それだけではなくて。
 ここ数日の、ティアナとの逢瀬に回した時間の付けでもあった。
 だがそれも、昨日で終わった話。
 終わらせた、話。
 
 なのはとヴィヴィオと、三人で暮らす。
 それはまるで家族のようで。
 自分の立ち位置が、思い描いていた母親のそれから父親のそれへと移っていくことに苦笑いを浮かべつつも、フェイトは幸せを感じていた。
 失っていて、望めなくて、それでもどこかで焦がれていたものを得たことに。
 母がいて、父親と思える人がいて、子供がいられる。
 もしかしたら家族以上の、ただの家族の絆。
 なのはとヴィヴィオにそれを与えてあげられることが、その輪の中に自分がいられることが、ただただ嬉しかった。

 なのはとヴィヴィオと、三人で暮らす。
 それは突然現れた関係。
 自分の立ち位置が、なのはの恋人としてのそれから家族の一人に移りゆくことに、フェイトはどこかで寂しさを感じていた。
 結婚なんて望めなくても、ずっと二人でいられればいいと思っていた。
 いつか、なのはが望むなら身寄りのない子供を引き取って一緒に暮らしてもいいと思っていた。
 でも、それは「いつか」の話で。
 正面からぶつかり合ったなのはとの決定的な違い。
 フェイトにはまだ、用意ができていなかった。
 二人だった頃とは比べるべくもなく減少したなのはとの触れ合いに、フェイトは―――。

 そんなときに現れたのがティアナだった。
 執務官になりたいという夢を持ち、そのために努力する彼女。
 部屋に帰った時に感じる少しだけ寂しい気持ちを紛らわせるように。
 つい、ティアナの指導に時間をかけるようになっていった。
 仮眠室を兼ねたフェイトの休憩室でいつものように指導をしていて。
 不意に告げられた彼女の想い。
 そしてフェイトは
 乞われるままに彼女を抱いた。

 仕事の手を休めて。
 虚空を見つめて。
 フェイトはここ数日の行動を思い出していた。
 お世辞にも褒められたものではない。
 いや、非難されるべきものだろう。
 そう考えて、自嘲する。
 今はまだ少し、自分を傷つけていたかった。

 ピッ…
 卓上のパネルが発光し、来客を告げた。
 「はい…?」
 映し出されたのは、ここ数日だけなら多分、一番多く表示された人影。 
 「フェイトさん…」
 「ティアナ…」
 「わからないことが、あるんです」
 あの時。
 執務官の勉強を始めた時と、同じセリフ。
 ロックを解除する。
 俯いたままティアナが部屋に足を踏み入れて。
 口を、噤んだ。
 「何、かな?」
 時を動かすために、フェイトが口を開く。
 ややあって。
 「…分からないんです。私の、心」
 ぽつりと、告げた。
 「わかってるんです。諦めなきゃいけないって。
  でもダメなんです!止まらないんです!」
 「ティアナ…」
 「お願いです…これを最後にしますから…。
  だから、もう一度だけ…」
 縋るような眼をしたティアナに、フェイトは気付いた。
 結局、何も終わらせることなどできていなかった。
 「…分かった」
 
 何度目かの夜が、また更けていく。
 フェイトの行動は優しさだろうか?
 ティアナを縛りつける問いに答える者はおらず。
 半端な関係は、いつか破綻することは目に見えていた。
 それでもその鎖は。
 二人を、解き放たない。






































 「なんてことになっとったんやで」
 
 しばらく前から、執務官についてフェイトがティアナに一対一で指導を始めて。
 それが昨日、終わったと聞かされた。
 「結構な期間だったが、何をしていたのだろうな」
 ふと呟いたシグナムの言葉に隣を歩いていたはやてが反応し。
 語ってみせたのが以上の内容。

 「な…テスタロッサが…!?」
 そのまま受け取ったシグナムに。
 「んなわけあるかよ…」
 はやての隣にいたヴィータがあきれた声を出した。

 「いやいや、端から疑うのはよくないで。これはとある筋から聞いた話でな…」
 話に集中しだしたのか、はやての歩みがゆっくりになる。
 それを少し追い抜いて、シグナムとヴィータは振り返った。
 「過ぎた話は好みではな、い、の…ですが…」
 「やりすぎはどうかと思うぞ。は、やて……」
 振り返った二人の表情が徐々に固まり、そのままの体勢で背面に前進を始めた。
 「ん?なんや二人とも。悪魔でも見たかのような顔をし(バシュ←CVK792-A)て…」
 「ねぇ、はやてちゃん?」
 「な、なんやろか?なのはちゃん…」
 背後から聞こえる友人の(と思しき)声。
 首筋に触れる、硬質。
 「そのお話、詳しく、教えてくれるかな?」
 「い、いやな。これはちょっとした…」
 「教えてくれるかな?」
 『count…9…8…』
 いつになく無機質な声が響く。
 “すまんフェイトちゃん…!あたしの命、ここで使うわけにはいかんのや…”
 目を閉じてここにはいない友人に心の中だけで謝罪する。
 そして、はやては徐に口を開いた

 「や、そこらへんの詳しいところはやっぱり旦那から直に聞いた方がええよ」



 「あー、スバル。ちょっとええか?」
 部屋でくつろいでいて、不意にのどの渇きを覚えたスバルが廊下で出会ったのは。
 「ええ、構いませんけど…どうしたんです?八神部隊長」
 機動六課部隊長、八神はやて。
 「唐突なんやけど、一つ頼み事してもええやろか?」
 明朗快活なはやてには珍しくひどく遠慮がちな言い方に違和感を覚える。
 「…ひとまず、お聞きします」
 はやてとの間に一本。
 引いてみたのは警戒という名の境界。
 「えっと、な。ヴィヴィオを一晩だけ預かってくれんか?」
 「はい?ヴィヴィオを?」
 「せや」
 「どうしてです?それに、そんなこと、なのはさんが了承するとは思えませんが…」
 「なのはちゃんの方には私から話を通しておく。それ以上は、訊かんといてくれんか…」
 「えっと…分かりました」
 はやてのいつになく沈痛な様子に、スバルはよく分からないながらも承知した。
 「じゃあティアナと行ってきます」
 特に考えることなく口にして、踵を返したスバルに背後から鋭い声が飛んだ。
 「ティアナは一緒に行ったらあかん!」
 「え?どうして…?」
 「すまん…それも、言えんのや。
  ただ一つ言えるのは、ティアナと今後も仲ようやっていきたいならここはスバル一人でいかなあかん、それだけや」
 「はぁ…」
 またもやなんだか分からないまま了承させられて、スバルは一人なのはたちの私室へ向かった。

 「すみません、なのはさん。スバルです」
 ああ言ったからには、すでに話は通っているはず。
 そう判断してスバルは名前だけを告げた。
 何の前触れもなく。
 何の気配もなく。 
 つ…とドアが開いた。
 「…ッ!」
 「…スバルだけ、なのかな?」
 訊ねて、小首を傾げるなのは。
 教導官としてのそれよりも幾分幼い仕草ではあったが、スバルは背筋が凍るような何かを感じた。 
 「わ、私だけですけど!?」
 「そう…ティアナは?」
 「部屋で勉強中です!」
 「お部屋に、いるんだ?」
 「はい!」
 「ふぅん…」
 いつの間にか、直立不動の姿勢を取っていたことに気付く。
 「まぁ、いいか。フェイトちゃんに聞けばはっきりすることだから」
 「そ、そうですか!」
 なんだかさっぱりわからないままにそう答える。
 今はとにかく、一刻も早くこの空間から逃げ出したかった。
 「で、ではヴィヴィオさんをお預かりさせていただきます!」
 「うん、お願いね、スバル。ヴィヴィオ、いい子にしてるんだよ」
 「うん…分かった。なのはママ…」
 「週末は、一緒に遊びに行こうね」
 「うん!」
 ヴィヴィオの手を取り、前だけを見て歩き去る。
 しばらくはなのはを振り返り振り返り歩いていたヴィヴィオが、スバルを見て不思議そうに呟いた。
 「どうして手と足が一緒に出てるの?」



 「ふぅ…」
 その日の仕事を片付けて、フェイトが少し伸びをした。
 「さ、帰ろ…」
 呟いて、立ち上がる。
 “なのは、もう帰ってきてるよね。ヴィヴィオはまだ起きてるかな”
 少し前から新たに加わった、フェイトにとって至福の一時。
 部屋に帰った時、なのはとヴィヴィオに迎えてもらうこと。
 二人の笑顔と「お帰り」で、疲れなんて吹き飛んでしまう。
 また明日も頑張ろうって気分になる。
 その日の夜に頑張っちゃう時もあるようだが。
 それは置いておいて。
 廊下へと踏み出したフェイトの脳裏に、声が響いた。
 “あー…フェイトちゃん。お疲れ様。今から帰るんか?”
 “うん…そうだけど…”
 はやてからの念話。
 急な仕事でも入ったのだろうかと思うが、様子がおかしい。
 “どうかしたの?”
 “あ…いや、その、な…”
 いつになく歯切れの悪いはやて。
 “明日、なんやけどな”
 “明日?”
 “特別休暇ってことで。なのはちゃんと二人、休んでええよ”
 “え?”
 急な申し出に、フェイトの頭が付いていけない。
 “ちょ、ちょっと待って。いったい何で?”
 “なのはちゃんとのお休みは嫌か?”
 “それはないよ。でも、なんで急に…”
 “うーん…まぁ、それは気にせんといてや”
 “う、うん。じゃあ、ありがたく休ませてもらうよ”
 “あぁ、そうしてや。それじゃあお休みな”
 “お休み。はやて”
 繋がっていた意識が途切れかかる瞬間。
 “ごめんな。フェイトちゃん”
 そんな声が聞こえた気がした。

 首を傾げつつ帰宅する。
 「ただいま」
 「お帰り、フェイトちゃん」
 「うん、ただいま。なのは」
 笑顔で迎えてくれた最愛の人に、笑顔を返す。
 「ヴィヴィオはもう寝ちゃった?」
 差し出された手に上着を渡してもう一人の同居人、というか娘のことを尋ねる。
 「うぅん。今日はね、お泊まりなの」
 「お泊まり?ヴィヴィオが?」
 なのはから一時も離れようとしないヴィヴィオの行動は、フェイトが一番よく知っていた。
 「うん」
 「珍しいね…」
 「今日はちょっと、フェイトちゃんに聞きたいことがあったから」
 「聞きたいこと?」
 それとヴィヴィオのお泊まりと、どんな関係があるのか。
 その時のフェイトは、まだ分かっていなかった。
 「あのね、フェイトちゃん。はやてちゃんから聞いたんだけど…」
 フェイトの上着をクローゼットに仕舞ったなのはがゆっくりと振り向いて。

 フェイトの長い夜が、始まった。

 (概略 説明:二時間 証明:三時間 交流:一日)



 余談ではあるが、その二日後。
 いつにもまして上機嫌な教導官の姿が目撃され。
 執務官が有給を申請して(教導官が代理申請)二日連続の休みとなり。
 ヴィヴィオのお泊まりは、一日延長されることになった。




 後書き
 執務官の有給申請についてははやてさんも予測済みで、すでに手は回してあったとかどうとか。
コメント
この記事へのコメント
 これはアレですよね。はやて師匠が
でっち上げて、そのとばっちりを受けてしまったフェイトさんという感じ。
 ……はやて師匠。背後には気をつけましょうね。
 そして、フェイトさんはお疲れ様でした。いろんな意味で。
 それでは、これからも頑張ってください。応援しています。では、また。
2008/12/29 (月) 13:40:00 | URL | 魔ぎゅなむ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
まさにそれですねw
まぁでも、この話に尾ひれがくっついて噂になったら、
かなりまずいことになっていたでしょうから、発祥元で食い止められて逆によかったのかも?
…それはそれで、見てみたい気もしますがねぇ(にやり

コメントありがとうございました。
こちらこそ、応援しておりますよー
では。
2009/01/05 (月) 00:07:51 | URL | フェルゼ #-[ 編集]
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