Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
Moonlit Promises II
私の部屋にはきっと、時間泥棒がいるに違いない。
葉巻はどこだ!

こんばんは
フェルゼです。

すみません、いただいておりますコメントに対するお返事は、前回分とまとめまして一区切りついてから、ということにさせていただきます。
それまでは独占させてもらいますよー!

というところで、一つお知らせを。
椋晴さまのサイトにて、以前拍手に入れさせていただいた文章をご厚意により掲載していただいております。
ですが、ピンと来られた方もおられると思いますが、2.5という分類に属する文章です。
訪問された際は、注意事項にしっかり目を通されたのちにご自身の責任で行動してください。
(これを書いている時点で)最新の記事である(書けないと自称されているけど書けてるようにしか見えない)小説の方が、色んな意味でリリカルですしバッチリ楽しめるものなので、むしろそちらを目当てに行かれるとよろしいかと!


それでは、前回の続き。
お話はちょいと、過去へと戻りますよー。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。
 「フェイトちゃーん!」
 「なのはちゃん」
 後姿を見て、思わず駆け寄った私を抱き留めてくれた人。
 近所に住んでいた、四つ年上のお姉さん。
 フェイト=テスタロッサ。
 彼女が振り向くのに合わせて、金のツインテールが揺れる。
 その光景に憧れて私もツインテールにしたのは、お母さんとのないしょ。
 けれどもまだ短くて、触覚にしか見えないのがちょっと不満。
 ぽすん
 「あぅ」
 彼女の腕に包まれて、私の至福が始まる。
 「もぅ…そんなに急ぐと転んじゃうよ?」
 「こどもあつかいしないで!ころんでもひとりでたてるもん」
 頬を膨らませた私にほほ笑んで、フェイトちゃんが手を伸ばす。
 「今日は何して遊ぼうか」
 「えっとね…えっとね…」
 町の探検、公園での遊具遊び、神社の木のぼり、家でのゲーム、おしゃべり。
 何をしていても、フェイトちゃんと一緒だと楽しかった。
 「ちゃんと手、つないでてね!」
 「はいはい、繋いでるよ」
 小さな私の世界の、ほとんどを占めていた人。
 写真を見ると分かる。
 あの頃の私は、あの幸せが永遠に続くことを疑ってもいなかった。



 あれは、私が9歳の時。
 "フェイトちゃん"に会いに行こうと駆け出した私の目に飛び込んだ黄金。
 背中までまっすぐに伸びた金の髪に、足が止まった。
 「…きれい…」
 日の光を反射してキラキラと揺れるそれは、今までに見た何よりも綺麗で。
 無意識に呟いた言葉に、彼女が振り向いた。

 「なのはちゃん」

 瞬間、だった。
 何の前触れもなく、それは。
 私の中に、転がりこんだ。
 トクトクトクと、鼓動がひとりでに早くなる。
 「あ…え…?」
 なにこれ?
 なにこれなにこれ?
 突然現れた、感情。
 知らない、感情。
 「どうしたのなのはちゃん!?顔が真っ赤だよ!」
 頬に手をあてて、あまりの熱に自分が驚いた。
 「あ、あれ…」
 声が詰まる。
 彼女の…フェイトちゃんの顔が…まともに見られない。
 「なのはちゃん、風邪ひいたの!?」
 風邪?
 確かに、風邪をひいたときも鼓動は早くなった。
 頬は熱くなった。
 でも、こんな…。
 こんなに胸、苦しくなかった。
 「わからない…わからないけど、苦しいの…」
 「とりあえず今日は帰ろう、ね?」
 帰りたくない。
 一緒にいたい。
 でも、苦しい。
 …怖い。
 私は小さく、こくりと頷いた。



 「恋、じゃないのそれ?」
 「こい?」
 会うと苦しくなる。
 でも会いたい。
 何週間も何カ月も考え続けて。
 袋小路にはまりこんだ私に、この気持ちは何だろうと尋ねた友人はあっさりとそう答えた。
 「誰かを特別に好きになるとさ、何だかこう、胸のあたりがキュッて苦しくなるんだ。
  その人のこと、考えるだけで苦しくなったりもして、会うともっとひどくなるんだけど…。
  でも、会いたくなるんだ」
 宙に視線を投げて呟いた友達が、なんだか急におとなになったように見えて。
 「そう、なんだ…すごいね」
 「私にとっては、なのはが誰かに恋した方がすごいと思うんだけど」
 「へ?」
 「なのはって、そういうの鈍感そうだもん」
 「そ、そうかな…?」
 「さ、白状なさい。相手は誰?」
 「え?え?」
 「話を振っておいてはぐらかそうったってそうはいかないわよ。
  誰を見て苦しくなったの?誰に会いたいの?」
 「え、あの、その…」
 言葉に詰まる私。
 その時、背後からもう一人の声がした。
 「あたしとしては、あんたがそんなに語っちゃうくらい誰かに恋をしていたってことが驚きだわ」
 「…聞いてたわね」
 「こんな面白そうな話、聞き逃すわけないじゃない
  さぁ、言ってごらん。誰が好きなの?」
 「今はそれよりもなのはの方が」
 「それは後で」
 「えー!」
 どうしよう。
 言う言わないでじゃれあいを始めた二人を見ながら、私はどう誤魔化そうか考えていた。
 マンガとかテレビで見るところの「好き」は、男の人と女の人の間のもので。
 たぶん、きっと、女のひとを好きになっちゃう女の子って、変なんだ…。
 幼馴染のお姉さんに恋するなんて、きっと…。

 そっか…私、フェイトちゃんに恋、しちゃったんだ。

 誰にも聞こえないように、小さく呟いて。
 やっと自覚した、9歳の初恋。

 それは奇しくも、その翌日、だった。


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