思い出す宵闇の校舎
常夜灯に照らされ、響く足音
日常の隣の、非日常
こんばんは
フェルゼです。
えー…まずは、拍手お返事といいますか、私信を一つ。
リンクありがとうございます!
私なんぞの文章でよろしければ、どうぞ晒してやってくださいなw
それでは、今後ともよろしくお願いします(平伏
というわけで
今回更新は…
懲りもせずに「平行世界」モノです。
前回の執事さんとも無関係ですよ。
組み合わせとしましては、前回宣言しました通り
「なのはさんとフェイトさん」
現行倫理に盾突こうってんじゃありませんのでー。
では、お付き合いいただける方は以下からどうぞ。
放課後。
校舎の中も人影は疎らで、遠くに部活動の喧噪が聞こえる。
そんな中、鞄とそれとは別に一冊のノートを手に薄暗がりの廊下を渡る姿があった。
疎らな人影すら途絶えて、自身の鼻歌のみが響く。
そして―――
ぴたりと足を止め、それが習慣であるかの如くそこにある戸を開けて。
するり…と、その姿が部屋に消えた。
「生物準備室」
そう記された、この部屋に。
白に包まれて
「フェイト先生」
鼻歌の延長上で、弾むように名を呼ぶと。
「高町さん…?」
積み上がった書類と参考書の山の向こうから、声がした。
「はい、質問に来ました」
返事のあったことに対する安堵か、その生徒の声がまた、一オクターブ上がる。
「うん…今日のとこ?」
そんな声とともに、小山の向こうに金の髪が覗いた。
ぺたぺたとスリッパの音をさせて、生徒の元へ歩み寄ってくる白衣の女性。
卒業したて、着任したての生物学教師、フェイト=テスタロッサ。
「ちょっと、違うんですけど…分かんなかったから聞きにきました」
満面の笑みで答えるのはその教え子。
今年めでたく受験生…の、高町なのは。
「そんなに毎日毎日、私のとこばかり来てて…他の科目は大丈夫なの?」
学校がある日はその放課後。
休みの日もフェイトが学校にいればこの部屋に、いなければアパートにやってくる教え子の成績を気にするのは教師としては当然だろう。
「大丈夫ですよ。ほら、私って理数系強いですから」
確かに、以前見せられた成績表では安定して上位を保っていた。
「センターは?」
「う…」
文系科目に目をつむれば、だが。
「大丈夫です!なんとかします!なんとかしてみせます!
というわけで、今日はお願いします」
「今日も、でしょ?」
苦笑を見せるフェイトに、なのははにやりと、口角を上げた。
「そんなこと言って、フェイト先生だって私が来るの待ってたくせに」
「え?そ、そんなこと…」
「じゃあ、なんで応接セットのとこだけ綺麗になってるんですかー?
昼にプリント持ってきた時は、ここにも本が積んでありましたよね?」
「…もう、そんなとこばっかしっかり見てる」
「えへへー」
ポスン、となのはが長椅子に腰掛けて、ポンポンと隣をたたいた。
「はいはい…それで?」
要望通りに腰掛けて、フェイトがノートを覗き込む。
「えっと、ですね。
この雌性配偶子と雄性配偶子の分化のところなんですけども…」
「あぁ、そこはね…」
時間にして三十分程。
若干論点がズレもしたが、なのはの質問にフェイトが答えて。
パタン…と、なのはがノートを閉じた。
「ありがとうございましたー」
「はい、どうも」
なのはがノートを鞄に仕舞うのを見届け、フェイトが立ち上がろうと、して。
白衣の裾を、引かれた。
「高町、さん?」
長椅子に逆戻りしたフェイトに、なのはがぐいっと顔を寄せる。
「まさか、これで終わりだなんて思ってないよね?
フェイトちゃん」
長椅子についた手を取って、指と指を絡めて。
それが当然であるかのように、唇をかすめ取った。
唇の一瞬の逢瀬。
去り際に、チロリと舌を出してフェイトの唇に届かせる。
その一連の流れは、この動作が最近のものではないことを如実に示していた。
「もう…また?
なのは」
コツン…と、なのはと額を合わせて。
フェイトが笑みを見せる。
「とーぜん。
フェイトちゃんがこの学校に赴任するって聞いて、私がどれだけ喜んだか分かる?」
「何度も聞いた。
それに、喜んだのはなのはだけじゃないよ」
「それも聞いた」
額を合わせたまま、くすくすと笑みを浮かべる。
「アパートで待っててくれてもいいのに」
「だって、フェイトちゃんに少しでも早く触れたいんだもん。
それに、先生と生徒が学校で…って言う、この背徳感?」
「スリル、だね…。
もしもバレたら、色んな意味で私はクビ確定だよ」
「だいじょーぶ。
そうなったら、私がフェイトちゃんを養ってあげるから」
「それはどーも。
でも、そんなことになったら主導権を決定的になのはに持っていかれそう」
「…あ、それいいね」
「やめてよ、ほんと。
最近そういうの敏感になってるみたいなんだから」
「じょーだんだよ、じょーだん」
ふふっと笑みを零したなのはが、一瞬、真剣な表情をした。
「冗談じゃ、ないよね」
「なのは?」
「フェイトちゃん、なのはのこと、アソビなんかじゃないよね」
つ…と泣きそうな表情を見せたなのはに、まったくもぅ…そう呟いて。
フェイトは、ぎゅ…っと、なのはを抱きしめた。
「本気、だよ。
これ以上ないくらいに。
先生になる前から、ずっと、なのはのこと好きだったんだから」
「うん…」
「まだ、不安?」
「だって…フェイトちゃん女の子にすごい人気だし。
私以外にも、誰かつまんでるんじゃな…イヒャいいヒャイ」
「そんなこと言うのは、この口ー?」
みょーんと、フェイトがなのはの頬を引っ張る。
そして、それから。
もう一度、ぎゅっと抱きしめた。
「じゃあ、高町なのはさんに質問。
私から、私となのは以外の匂い、する?」
その問いに、なのははフェイトの胸に顔を押し当てて。
目を閉じて、すぅ…っと、息を吸い込んだ。
甘い香りが、大好きな香りが胸一杯に広がる。
「…しない」
「安心、した?」
「うん…」
そう言いかけて、だけど。
「うぅん、まだ足りない」
頭を、振った。
「もう…どうしたらいいの?」
けれども、声に隠しきれない想いが溢れていたから。
だから、フェイトは目と目を合わせて笑みを浮かべた。
「じゃあ、フェイト先生、教えて下さい」
「何を?」
「私の、躰」
「…え?」
「だって、私よりもフェイトちゃんの方が私の躰のこと、知ってるもん」
「…もぅ」
フェイトが、頬を染める。
「分かりきった結末でしょ?」
負けないくらいに頬を染めたなのはの手を取って、立ち上がって。
フェイトは白衣を脱いで、長椅子にかけた。
「ほんとは、白衣ってこんなことのために使うんじゃないんだけどな」
「そう?実験には白衣がつきもの、だよね」
「なのはは検体?」
「フェイトちゃんだけの、ね」
「なるほど…それでは、実技実験。
高町なのはさんの躰について。
始めます」
「よろしくお願いします」
キシリ…とスプリングが小さな悲鳴を上げる。
二人の授業は当分、終わりそうにない。
後書き
…シリアスにするつもりだったんですけどねぇ。
…そっちはそっちで、別に書こうかな…。
どうでもいいけれど
冒頭のあたりの会話が、書いていて中の人に見えてきた不思議。
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