Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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そこに刻まれたものについて
二月?
知らない子ですね……

こんばんは
フェルゼです……

何書こうかなとぼんやり考えていたら、
このざまだよ。

うぅむ……
そろそろ、考えた方がいい時期なのかもしれませんね。

さて、今回更新はカテゴリリリカル。
ですが、なのはさんとフェイトさんは登場されません。
ついでに、視点は名もなき一職員さんです。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 「あの……」
 沈黙に耐えかねて、私は目の前の女性に声をかけた。
 「なんや?」
 私の震える声が面白いのか、女性はおかしそうな表情のままでそう返した。
 もっとも、ランチプレートを持って来て私と相席になってから、ずっと同じような笑みを浮かべているのだけれども。
 独特のイントネーションは、遠く離れた管理外世界の、そのまた限られた一地域の言葉だという。
 初めの頃は、大いに違和感を持ったものだ。
 今でも少なからず違和感はある。
 でも、それが話しかけるのを躊躇わせたというわけじゃなくて。
 「司令官、は」
 そう、司令官。
 管理局の中の一部署の平職員である私と、その部署なんて極々一部でしかない規模の艦隊の司令官であるところの彼女。
 躊躇うなと言う方が無茶だ。
 寧ろ、なんで一般職員と同じ食堂に平然と現れているのだこの人は。
 訂正、この方は。
 確かに、着任のあいさつの時に『偉い人は苦手なので、なるべく遭わないように行動しますんで』とか言っていたが、こういうことだったとは。
 というか、偉い人は苦手って。
 今でこそ一艦隊の司令官だけれど、過去には大艦隊クラスの司令官だったこともあれば本部で上から数えた方が早い役職を持っていたこともある人なのだ。
 自分の凄さを分かっているのだろうか。
 現場重視主義のせいで上の方から煙たがられて、事あるごとに降格しながらも長い目で見れば確実に昇進しているし、的確な指示、作戦が多いから現場の支持は言うまでもない。
 数十年を局職員として過ごしてきたというこの人は、それこそ局のトップにいてもおかしくない人なのだ。
 それが今、のんきな顔をして私の前に座っている。
 気まずくなるなという方が無理。
 何か、何か会話を。
 そ、そうだ!

 「目尻とか、気にされないんですか?」

 さぁーっと血の気が引いた。
 無論私のである。
 何を、何を言っているんだ私は!
 いや確かに、友達とは時々俎上に上がる話題だったけど何も本人にぶつけるなんて!
 死んだ!
 今私、出世的な意味で死んだ!
 もしかしたら、作戦的な意味でも死ぬかもしれない!
 「ほほう?」
 今まさに背中に嫌な汗かいてる私と比べて、目の前の司令官はさっきと変わらない表情を浮かべている。
 いやむしろさっきより楽しそうだ。
 これはあれだろうか。
 どうやって捻り潰してやろうか考えている的な。
 「それは、大概の女性職員が妙齢になるとばっちり皺取りとかやって少なくとも見た目は若返るのに私はそれをせぇへんな、という」
 「いえその……!」
 「ちゃうんか?」
 はいそうです説明までしていただいて申し訳ありませんでした!
 「違いません……」
 あぁ、終わった。
 さようなら、平凡な私の人生。
 こんにちは、デンジャラスマイライフ。
 「そんなしょげんでえぇよ。
  じいちゃんらはよう訊いてくるしな、これのこと」
 そう言うと司令官は、自分の顔を撫でた。
 年齢相応に刻まれた肌の谷。
 仕事仕事で駆けていく先輩職員たちもそれは気になるのか、司令官ほどの年になる前にそれらを消してしまうのが当然の風潮があった。
 独り身の先輩たちはもちろん、お相手のいる先輩たちまで処置しているのだから、何もしない方が少数派といっていい。
 何故それをしないのか。
 その少数派の先輩たちに、私はまだ質問したことがなかったし出来なかった。
 でも、今の司令官の雰囲気は、聞いてもいいと、そういうことだろうか。
 「えっと、では、その、お言葉に甘えまして……。
  目尻とかの皺の処置は、なぜされないのですか?」
 「ええ質問や、小娘。
  長いこと管理局で働いて、ようやっとええ感じのが手に入ったんや。
  これを消す?
  アホゆうたらあかんよ。
  これは、私の大事な勲章や」
 司令官はにやりと笑った。
 この方は、そういう表情が怖いくらいに似合う。
 作戦中ならばきっと凄みを感じるだろうその表情は、けれども。
 今は、とても晴れがましいものに見えた。







 そんなこんなで、食事も終わってお茶を飲んだりしています。
 「私、ちょっと感動しちゃいました」
 「そうか?」
 「処置するタイミングを逃しちゃったから自棄になって放っているなんて噂もあったんですけど、そんなことなかったんですね!」
 「……」
 「司令官?」
 「その噂の出どころ、どこやろうな。
  知っとるか?」
 「いえ、私は小耳にはさんだだけですので……」
 「どこで?」
 「えっと……倉庫の辺りだったかと」
 「倉庫か。
  輸送部やな」
 ガタリと、椅子を鳴らせて司令官が立ち上がった。
 「悪いな、もっと話もしたかったんやけど、急用ができたんで今日はここまでな」
 「はぁ……」
 「あぁ、そうや。
  もしまたその噂を聞いたら、どこの誰が口にしとるか、直に私に報告するように」
 「え?
  直接ですか?」
 「そうや。
  間に余計な手間をとったらあかん緊急事項やから、誰かに確認とったりせんでええ。
  すぐに、や。
  分かったな」
 「はい……」
 カッカッカと歩み去る司令官。
 そして。
 「あ、おいはやて!
  どこ行くんだよ!
  昼休み、もう終わりだぞ!」
 その背を追いかけるヴィータ補佐の声に被さるようにして、昼休み終了のベルが鳴った。
  
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