Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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ひとりごとの理解論
ほんの少し前の日々という名の、
昔話。

こんばんは
フェルゼです。

というか、お久しぶりです。
いつの間にやら、布団から出るのが辛い気候になっていましたね。

さて、今回更新はカテゴリリリカル。
考えすぎているフェイトさんの独り言です。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。


 「話し合えば、理解できる……か」
 一人の部屋でフェイトは、誰に向けるでもなく言葉を投げた。
 "話さなければ、口にしなければ伝わらない"
 確かにそうだ。
 口にしないままに、心に仕舞いこんだままではどれだけ願っても相手には伝わらない。
 それを教えてくれたのはなのはだった。
 私がどうしたいのか、何が必要なのか。
 戦うだけでは伝えられないたくさんのことを、言葉にして欲しいとなのはは言った。
 その熱意がフェイトに触れて、だからフェイトはなのはに話をした。
 たくさん、話をした。
 母のこと。
 家族のこと。
 姉のこと。
 そして、フェイト自身のこと。
 フェイトの中の伝えたいこと全て、拙いながらも言葉に変えて、なのはに伝えた。
 そうして、二人は友達になった。
 でも……だからこそ、フェイトは理解したことがある。
 "伝えようとしなければ伝わらない"
 けれども
 "伝えようとしたことが全部伝わるわけじゃない"

 フェイトとなのはの間で確実に共有されたのは、なのはがフェイトを理解したいと思っている、その思いだけだ。
 フェイトの言葉は、フェイトというフィルターを通してのみ完全な形で理解される。
 そしてそれと同じように、フェイトの言葉はなのはというフィルターを通して、なのはだけの形で理解されている。
 おそらくその二つは、とてもよく似た、けれども全く別のものだ。
 時折感じる断裂感に、フェイトは理解していた。
 フェイトの伝えようとしたことと、なのはの理解には隔たりがあると。
 だが、それがどうしようもないものであることもフェイトはまた、分かっていた。
 なのはもフェイトと過ごす中で気付いただろう。
 彼女への理解に欠けているもの、勘違いをしていたものの存在に。
 それを埋めようとしたなのはに、しかしフェイトは首を振った。
 その必要はないよ、と。
 実際フェイトにはそれでよかったのだ。
 なのははフェイトを理解しようとしてくれている、それは十分すぎるくらい伝わっていたから。
 なのはが見ていてくれる、なのはが耳を傾けてくれる。それだけのことがどれだけ素敵なことか、自分を認めてくれることにどれだけ勇気づけられるか。
 自分の為に何かをしてくれる、しようとしてくることがどれだけ嬉しいか。
 それは世界が一変する出来事―――そう言っても過言ではない。
 だからこそ、恐れた。
 フェイトはなのはを失うことを、恐れた。
 なのはの存在、その形。
 ありとあらゆる関係性。
 二人の間にあるすべてを、何一つ失いたくなかった。

 それが恋かと聞かれたら、よくわからないけど違う、とフェイトは答えたろう。
 なのはに恋していないのかと訊かれたら、よくわからない、とだけ答えただろう。

 曖昧な心の形。
 不安定な心の形容詞。
 フェイトは自身の心を、その感情を、美しいものだなんて全く思えなかった。
 ただなのはのおかげで生まれた感情だと、それだけは理解していた。
 快だと言えば快であり、不快だと思えば不快だった。

 つまるところ、フェイトが理解したのは「なのはがフェイトを理解しようとしてくれている」ということと、「この感情はなのはのおかげで生まれたものだ」ということだけだった。
 自身のことは何一つわからない。
 ―――あぁ、でも。
 強いて言えばただ一つ。
 なのはに出会えて幸せだった。
 それだけは、理解していた。


 フェイトは虚空に問いかける。
 ねぇ、なのは……私はなのはを信じてもいいのかな?
 それとも――
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