Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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to be a...
安全第一
時々冒険

こんばんは
フェルゼです。

そんな感じでいけたらいいな。

さて、今回更新はカテゴリリリカル。
なのはさんとフェイトさんの物語。
え、まだやってんのかって?
まだやってますよ。
いいじゃないですか、辺境だもの。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 「お疲れ様です、高町教導官」
 「お疲れさま」
 廊下を歩いていた時にかけられた声に、なのはは笑顔で返した。
 誰だったかなと数瞬ほど頭の中のアルバムをめくり、数期前の教え子の一人だったと思い出す。
 「今はこっちに配属されているんだっけ?」
 「いえ、今日は所用がありまして」
 そうしてその女性が告げた配属先は、ここからは少々距離があった。
 「そう、大変だね」
 「でも、いいこともあるんですよ。
  今から帰っても遅くなるからということで、今日は直帰が許されてるんです」
 「思いもかけない幸運、かな?」
 「はい!
  今夜はこっちを少し散策してみようかと思っています」
 「そう、楽しそうだね」
 「はい。
  ――高町教導官も」
 「うん?」
 「楽しそう、ですね?」
 「そう、かな?」
 「そう見えますよ」
 「そうかなー」
 なのはの顔が笑みに崩れた。
 こんな表情もできるんだ、と、彼女は少しだけ失礼なことを考える。
 訓練を受けているころには見たことのない表情だった。
 笑顔だけなら見たことはあったけれど、この表情はまるで――恋する乙女だ、と。
 「ところで、高町教導官はこちらに何か御用なんですか?」
 「ん?
  えっとね、用ってほどでもないんだけど」
 こっちってなにがあったっけ、と彼女は案内表示に目をとめた。
 あぁ、そうだ。
 休憩所によく使われるとかいうフリースペースだ。
 そこまで思い出したところで、そのフリースペースから声が聞こえた。

  
 「ハラオウン君、今夜少し部門のメンバーで食事でもどうだね?」
 この誘いはお酒だな、と声をかけられたフェイトは考える。
 「えっと、すみません、今夜は」
 「先約あり、か?」
 「ええ、まぁ」
 「スタートは終業の一時間後からなんだが、参加してくれるのは一時間程度でもいい。
  終業から合計二時間ほど都合してもらうだけでいいんだ。
  どうだろう?」
 二時間か……フェイトは考える。
 その程度なら、大丈夫かな。
 約束をしている、というわけでもないのだし。
 「本当に一時間でお暇させていただいてもよろしいのでしたら」
 「構わん構わん!
  おい、みんな!
  ハラオウン君も参加してくれるそうだぞ!」
 とたんに湧き起こる、うぉー!という声と、キャー!という黄色い叫び。
 どう見積もっても、フェイトの部門だけじゃない。
 両隣、さらにその向こうの部門まで。
 妙に大勢が同じタイミングで休憩をとっているんだなと思ったら、飲み会の打ち合わせを兼ねていたらしい。
 部屋の隅の方でも手を取り合って喜んでいる少女たちがいるのだから、その規模たるやどれだけに膨れ上がるのわかったものじゃない。
 一時間で帰れるんだろうか?
 フェイトはちょっと、不安になった。


 「わぁ、ハラオウンさんも参加する飲み会かぁ。
  楽しそうだなぁ、私も参加しようかなぁ」
 喜ぶ少女たちの中に親しい友達の姿を見つけた彼女は、なんだかワクワクしてきた。
 「高町教導官は……」
 参加されるんですか?そう尋ねようとした女性の言葉は、最後まで続くことはなかった。
 「そ、それじゃあ私、今日はこれで失礼させていただきますね!」
 「うん、気を付けてね」
 足早に去っていく女性。
 おそらくはすぐに、あの場にいた友人と合流し、飲み会に参加するのだろう。
 それを見送り、足を引きずるようにして戻っていくなのは。
 「おう、なのはちゃん。
  元気か?」
 「そう見える?」
 「いや、まったく」
 なのはは相変わらず過去の教え子を退散させたオーラを纏っているにもかかわらず、さすがに長年の付き合いがあるだけ、はやてのノリは軽い。
 「なんや、そのこの世の不幸……っていうか、具体的にいうと、
  “約束はしてないけど仕事のスケジュールからすると恋人が早く帰ってくるって期待してたのにやっぱり無理だと分かった瞬間”
  みたいな顔して」
 「分かってるなら何も言わないで。
  ……はやてちゃんも参加するの?」
 「うん。
  私の部署が言いだしっぺやし」
 「……」
 「な、なのはちゃん!
  絞まっとる絞まっとる!」
 



 『Master……』
 「あ、フェイトちゃん帰ってきた?」
 『Yes』
 外の様子を見てもらっていたレイジングハートからの声に、私は掌と拳をパンとぶつけた。
 俗に言う臨戦態勢である。
 時計を見れば終業から三時間。
 頑張って帰ってきたと言ってもいい。
 でも。
 「許さないんだからね!」
 はやてちゃんを絞め落とそうとしたところで、シグナムさんとヴィータちゃんに止められて。
 正直、フラストレーションは溜まる一方です。
 いつもだったら、こんな時間に帰れることはないって知っているからいなくたって別に気にしないけど。
 少し、寂しいだけで。
 でも、今日はフェイトちゃんが「早く帰れるよ」なんて言ってたから悪い。
 私に期待させるフェイトちゃんが悪い。
 そのくせ、断れなくて仕事のお付き合いにも参加しちゃう優しいフェイトちゃんが悪い。
 悪いったら悪い。
 そんなことを考えつつ仁王立ちをしていると、玄関の戸が開いた。
 おそるおそる。
 そんな感じで。
 「――お帰り、フェイトちゃん」
 おなかのそこから、そう、おもーい声を出すように意識して。
 「ただいま、なのは……」
 フェイトちゃんは、戸を開けたときと同じように恐る恐る姿を見せて。
 そして、私は固まった。
 「フェイトちゃん……何、それ」
 「え?
  何って、花束、だけど」
 「――誰にもらったの?」
 まさかあの子だとか言うのなら、再教育が必要だろうか。
 「もらっ……違うよ!
  私が自分で買ったんだよ!」
 「なんで」
 「なんでって、だって、記念日だから」
 「記念日?」
 「もしかしてなのは……忘れちゃった?」
 「え、ちょっと待ってちょっと待って!」
 「あのね、なのは。
  今日はね。
  私たちが、再会した日、だよ」
 「……あ!」
 ヴィータちゃんを追いかけて、やられちゃって、それで。
 「フェイトちゃんが、助けに来てくれた」
 「結局、力になれなかったけどね」
 「そんなこと、ないよ。
  それに、友達だって言ってくれて、嬉しかった」
 「友達だ……そうだね。
  仲間なだけじゃないって、そう思ったから。
  でも、今なら」
 「今なら?
  なんて言ってくれるのかな?」
 「……家族だ」
 微笑みながらフェイトちゃんはそう言って、すっと、花束を差し出した。
 
 フェイトちゃんは本当にずるい。
 怒ろうと思ってたのに。
 理不尽に怒ってやる、って思ってたのに。
 あんなきれいに花束をくれるなんて。
 あんなうれしい言葉をくれるなんて。
 もう、怒れないじゃない!
 本当にもう!
 「フェイトちゃん、ずるい!」
 「え、な、なに!?
  私、何かした、なのは?」

 そんなところも全部、大好きなんです。
 
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