Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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足りないコトバ
異常に浸りすぎて日常が消える
さて、普通はどれだ?

こんばんは
フェルゼです。

最近、カレー粉の万能性に驚かされています。
元々カレーは好きな方なのですが、
種々の料理に隠し味としてカレー粉を入れると、コレがまたうまくまとまる。
もちろん品目によりけりですが。
あぁ、カレー粉のような人間になりたい。

さて、本日更新はカテゴリリリカル。
組合せはなのはさんとフェイトさん。
登場されるのはお二人に加えてはやてさん、というものになります。
某魔法少女の青い方を思い浮かべつつなのはさん書いてたら、面倒ななのはさんになりました。
あちらで書こうとするとこう、紅い方と若干喧々諤々となったりするんですが、なのフェイだとでろでろになる不思議。
それはともかく。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。




 「それじゃあ」
 「うん。
  行ってらっしゃい、フェイトちゃん」
 「行ってきます」
 大きめの鞄を転がして、フェイトの笑顔が扉の向こうに消えた。
 それを見送るなのはの笑顔は、扉が閉まると同時に消えていった。




 足りないコトバ




 「えっと、すまん。
  なのはちゃんがなに言うとるか、うまく理解できなんだんやけど」
 フェイトが出張に出てから、二週間が経った。
 ミッドの街中では比較的よく見かける居酒屋チェーン店の店内。
 八神はやては、心持ち水っぽいリキュールを片手に顔を顰めた。
 酩酊というわけではなく、安酒にやられたわけでもない。
 むしろ、アルコールでも摂取しないとやってられない心境だった。
 「だからね!」
 ダン! とテーブルを叩いて身を乗り出してきたなのはに若干引きつつ、横目でお代りの注文を入力する。
 「フェイトちゃんがなのはに飽きちゃったのかなってちょっとだけ、ちょっとだけだよ、思うんだけどどうしたらいいのかな!?」
 知らんわ。
 はやてが内心で零した。
 あくまで内心である。
 本当に零したら、シューターのごとき連続口撃が飛んでくるのは、カリムの様なレアスキル持ちでなくとも目に見えていた。
 「なんでそんなこと思ったん?」
 念の為、聞いてみる。
 あのフェイトがなのはに飽きるなど、はやてにはとてもじゃないが想像がつかない。
 フェイトがなのはに飽きたと聞くよりも、フェイトがなのはのために管理局を敵に回したと聞いた方がはやてとしては納得できる。
 「だって、言ってくれなかったんだもん……」
 身を乗り出したまま、なのはがぐったりと崩れ落ちた。
 しまった、これは思っていたより真面目な内容だったかとはやては焦りを覚えた。
 「なんや?
  何を言ってくれなんだんや?」
 なのはがここまで落ち込むくらいだ。
 よほど重要なことだろう。
 はやても少し身を乗り出して、なのはの声に注意して。
 「出かける時に、愛してるって言ってくれなかったの!」
 やっぱりやめた。
 「はぁ……そうなん?」
 そもそもに、そんなこと言っていたのかと。
 「最初の頃は、行ってきますの前に、キスしてくれてたんだよ!
  キスして、行ってきますって言って、そのあとに『愛してるよ、なのは』って!
  それが最近はキスがなくなって、行ってきますと『愛してるよ、なのは』だけになってたのに、今度はそれも無くなったの!
  行ってきますだけになったの!
  これはもう、なのはとの生活に飽きてきたんだって――」
 『愛してるよ、なのは』のセリフだけ、一々フェイトの声マネでやるのをやめてほしい。
 妙にうまいのもまた腹が立つ。
 運ばれてきた何杯目かのリキュールを手に取り、はやては口を吐きかけた文句ごと胃に流し込んだ。
 たまには一緒に御飯でもと誘ってきた親友のため、二週間かけて予定の調整をしたはやて。
 だから、緊急事態でもない限りあとは帰るだけなのだが。
 ――帰りたいわぁ。なんか用事できへんやろか。
 それが正直なところだった。
 「聞いてる?
  ねぇ、聞いてる?
  目、逸らしてないではやてちゃんも考えてよ!」
 「……何を?」
 私が早く帰る方法をか?
 「フェイトちゃんをなのはに繋ぎとめておく方策だよ!」
 「繋ぎとめるって……犬とかやないんやから」
 言いつつ、はやては首輪をつけたフェイトを想像してみた。
 首輪から伸びたリードは、もちろんなのはが握っている。
 ……妙にしっくりきた。
 「犬……そっか、いっそフェイトちゃんを飼え」
 「そういうのはほら、既婚者とかに訊いたらええんとちゃう?」
 「ばいい……え?
  なんか言った?」
 こいつは……そう思いつつ、はやてはおくびにも出さない。
 哀しいかな、管理職を続けているとそんなスキルも身についてしまうのだ。
 「既婚者の人とかなら、いいアイディアもっとるかもよ」
 「そっか、既婚者。
  そうだね、あしたエイミィさんに連絡取ってみるよ。
  どうやってクロノ君を飼ってるのか」
 「あぁ、そうしたらええ」
 もう訂正する気にもならなかった。



 「飲み過ぎたかなー」
 ふらふらと部屋へと帰ったなのはは、おぼつかない足取りのままソファに崩れるように座り込んだ。
 一応の方策を見つけたあとは、比較的いつも通りの流れとなり、互いの近況やら思い出やらで話も盛り上がり、そこそこアルコールも回っている。
 「あー」
 シャワー浴びたい。
 なのはは思う。
 けれども、この状態では危なっかしいなと自分の中の冷静な部分が声を上げている。
 足を滑らして転んだりしたら、そして打ち所が悪かったりしたら。
 明日も仕事なりあれば無理にでも浴びるけれど、明日は幸いに休日。
 「明日、起きたら浴びよう……」
 のろのろと立ち上がると、上着とスカートをソファの背もたれに掛ける。
 ずりずりとベッドの傍らまで足を進めて、シャツと下着以外の物を脱ぐとまとめて足元に転がした。
 フェイトがいればそんなことは当然しないし、どっちかが飲み過ぎてしまっていてももう一人が気をつけるから大丈夫なのだ。
 シャワーだって、二人で浴びればそこまで危なくもない。
 なのはは現状を思う。
 着ていた物を脱ぎ散らかして、シャワーも浴びずに。
 フェイトがいないからだ。
 フェイトが、いれば。
 「さみしいよ、ふぇいとちゃん……」
 酔って火照っているはずなのに、一人きりの布団はちっとも温かくならなかった。

 眠れないかと思った冷たさでも、酔いに任せて目を瞑れば意識は自然と薄くなっていく。
 小さく丸くなったなのはは、やがて穏やかな寝息を立て始めた。

 一度寝入ってしまえば、朝日の射すのはさほど遠い話ではない。
 翌日の予定があるならまだしも、何もないのなら尚更だった。
 だから、なのはがいつもの起床時刻を過ぎても起きないことは仕方のないことで。
 部屋に入ってきた人の気配に気づかないこともまた、仕方のないことなのだ。
 射しこんでくる朝日を背に、その人の姿は影になっている。
 その人影は、ゆっくりとなのはの寝ているベッドの脇に立った。
 「おはよう、なのは」
 耳元の声に、なのはの意識が浮上する。
 「……んぅ?」
 「ごめんね、眠たいかな……って、お酒飲んだね、なのは」
 ぼんやりとした声にその人は笑みを深めたが、濃く漂うアルコールの残滓に眉を寄せた。
 なのはがうっすらと瞼を上げる。
 目が、合った。
 「……ふぇ、ふぇふぃふぉふぁふぁふぁふぁ!?」
 「何を言っているのか分からないよ、なのは」
 「フェイトちゃん!?」
 「うん、ただいま」
 少しだけ首を傾げると、朝日に照らされたフェイトの笑顔がなのはの目に飛び込んできた。
 予想だにしていなかった一撃を寝起きに受けると、流石のなのはの防御も怯まざるを得ない。
 主に理性的な意味で。
 「なんで!? 
  まだ帰ってこれる日じゃ」
 酔いの残滓と寝惚けを明後日の方向に吹き飛ばして、なのはは身を起こし――掛けてやめた。
 慌てて布団を胸元まで手繰り寄せる。
 下着の上にシャツを一枚きり、しかもボタンを幾つか外しているその格好。
 相手は同棲中の恋人とは言え、一分の隙もなく着こんでいる相手に朝日の中で見られるのはさすがに恥ずかしいものがある。
 「どうしても一旦帰ってこなきゃいけない用事が出来たんだ。
  と言っても、私はその用事に直接関係はしないから、半日自由時間」
 「そ、それなら連絡くれたって!」
 「なのはの端末、電源切れてたよ」
 フェイトが帰ってくることを知っていれば、こんな事態にはならなかった。
 なのはが現在の惨状の一部でも恋人の責任に回そうとしたのも束の間、フェイトの反撃により自らの責任に舞い戻ってきた。
 「え、そうだった?」
 「うん。
  なのはが今日お休みなのは知ってたから、起きた頃を見計らって帰ろうかなとも思ったんだけどね」
 そうしてくれればこちらももうちょっとましだったと、なのはは内心で文句をぶつける。
 「どうしても早くなのはの顔が見たくなっちゃって」
 「っ!」
 私を殺す気だろうか、この恋人は。
 ただでさえ無防備になっているところ、無意識に繰り出されたフェイトの攻撃になのはの心臓は最高速である。
 「なのは、愛してるよ」
 「なっ!!」
 お酒の匂いにも慣れたのか、フェイトはなのはの方へと腰をかがめてくる。
 頬に触れた手に明確な意思を感じて、なのはは大いに慌てた。
 ――キスされる!
 「ちょ、ちょっと待って、フェイトちゃん!」
 「……嫌だった?」
 なのはの制止に、フェイトはほとんど覆い被さっていた体勢を元に戻した。
 それでも頬に添えた手はそのままだし、なのはと目線を合わせる様に屈んでしまったため、顔と顔の距離はさして離れていない。
 どうにも恥ずかしくて、なのははシーツを口のところまで引き上げた。
 「嫌じゃないよ!
  ただ、その、私まだシャワー浴びてないし……お酒の匂いが」
 「気にしないよ」
 「私が気にするんだよ!」
 「じゃあ」
 「ちょっと待っててよ、フェイトちゃん」
 時折こうやって何を言い出すか、なにをしでかすか分からない恋人だが、なのはだって触れたいのは確か。
 だから、さっさとシャワーやらなんやらを済ませてしまうのが一番。
 そんな思いを込めたなのはの制止は。
 「じゃあ、いっしょにシャワー浴びようか」
 フェイトの微笑みの爆弾で吹き飛ばされた。

 そして無論のこと、なのはにそれを断る理由なんて用意されていなかったのである。
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