Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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The Garden of 2
理由はよくわからないけど嬉しいもの
ポケットから転がり落ちてきた覚えのない百円玉。

こんばんは
フェルゼです。

あれもしたいこれもしたい。
多分やれるのは今しかない。
分かってるんですけど、なぜか他のことをしたくなる。
なぜでしょーね。

色々と中途半端なままに終わりそうで怖い。

さて、今回更新はカテゴリリリカル。
前回の続きです。
多分あと二回くらい。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。



 それはある日の夕飯後のこと。
 なのはの父が、なのはとフェイトを呼び止めて、幾許かの躊躇の後に口を開いた。
 「フェイト君。
  君には世話係の域を超えて、なのはの執事になってもらおうと思う」
 「執事、ですか?
  それは男性がなるものではないのですか?」
 はっきりとした取り決めがあるわけではないが、少なくとも近隣の邸では男性の役職である。
 それはこの高町の邸でもそうであり、当然のように歴代の執事達は男性であった。
 「普通はそうだろう。
  だがなのはのすぐそばに一般の男など足元にも及ばないほどに有能な君がいる以上、普通である必要などどこにもない。
  だから、だ」
 「――身に余る光栄です。
  承知いたしました。
  私フェイト・テスタロッサ、なのは様の執事を拝命いたします」
 「それ、ほんとう!?」
 フェイトの斜め後ろから覗き込むように話を聞いていたなのはが、フェイトの前に飛び出した。
 「ああ」
 それに対して重々しく答えるなのはの父。
 高町の、当主。
 フェイトが小さく首を傾げた。
 いつもと雰囲気が違う。
 なのははそれに気付かない。
 常ならばそう言った機微には年齢以上に聡いなのはだが、今はそれどころではない心境だった。
 執事が付くらしいことは知っていたが、よく知りもしない人がそばにいるのは気が進まなかった。
 それ以上に、世話係としてのフェイトと疎遠になることが嫌だった。
 フェイトが執事になってくれる。
 ならばこれまでと同様に、いや、これまで以上に一緒にいられるのではないか。
 そんな淡い期待に頬を染めたなのはに、当主が再び口を開いた。
 「なのは……」
 「……はい?」
 「お前に伝えなければならないことが、二つある」
 「二つ?」
 「一つは、今言った通りフェイト君がお前の執事になることだ」
 「はい」
 「もう一つは……」
 そこで言葉を切り、当主は宙を仰いでため息をついた。
 なのはもそこで、ようやく違和感を覚えた。
 「お前は将来、スクライア家に嫁ぐことになった」



 「あはは……私、ユーノくんのお嫁さんになるんだって……」
 食堂からの帰り道。
 続く沈黙に耐えられなくなったのは、なのは。
 「左様でございますね」
 「お兄ちゃんが結婚して、政略結婚じゃないけど他の国と結びつきが強くなったってお父さん喜んでて。
  私は、そういうのを気にしなくていいよって、言ってくれてたのにな」
 「事情が、あるのでしょう。
  武に長けたこの高町と、情報を扱うことに長けたスクライア家。
  両家が結びつけば、他への大きな牽制にもなります。
  特に他との結びつきが弱いスクライアにとっては大きなメリットとなりますし。
  おそらくは、あちらが強く申し込んできたのではないかと」
 「それでも、私は……」
 不服そうに呟いて、気付く。
 フェイトの声が、いつもより遠い。
 足を止めたなのは。
 足を止めたフェイト。
 なのはが振り向いて、そして。
 「フェイト、ちゃん?」
 「如何されました?」
 「どうして、そんなところに立っているの?」
 いつも隣にいたフェイトが。
 三歩分ほど後ろに立っていた。
 「お嬢様の執事を拝命いたしましたからには、隣に立つなどといったまねはできませんから」
 「……フェイトちゃん」
 なのはが一歩踏み出す。
 フェイトは動かない。
 もう一歩踏み出す。
 フェイトは動かない。
 もう一歩……
 「そろそろお部屋に戻りましょうか。
  お嬢様」
 す……と足を揃えて、フェイトが言った。
 ちょうど一歩分、後ろに下がって。

 フェイトに当然ながら執事としての仕事の心得はない。
 だが幸いなことに、高町には有能な執事がいた。
 もともとの素質もあり、フェイトは彼に師事することで徐々にその評価を上げていった。
 数年。
 フェイトに対する周りの評価は、「なのは様の完璧な執事」。
 表には出ず、しかし全てを円滑に進める。
 なのはには羨望の眼差しが向けられる。
 本人の思いとは関係なく。
 フェイトはなのはの「完全な執事」であった。
 
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