Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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The T 17
何かしてやりたいと、出来るのではないかと
そう思うことすらおこがましかった。

こんばんは
フェルゼです。

誰かが失ったと嘆いているものは、
別の誰かにとっては欲していない物であることもあって。
なるほど、需要と供給はバランスが取れていない物なのかもしれませんね。
相談相手にならせてもらうことも出来ない無力感。
もどかしいよね、仕方ないけど。

さて、今回更新はカテゴリリリカル。
例のヤツの続き。
コロリ、転がして。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。 

 

 
 「どうしたんです、こんな時期に」
 エリオがクロノに尋ねた。
 「うん、ちょっと聞いておきたいことと、話しておきたいことがあってね」
 そういってクロノはメンバーを見渡した。
 先ほど質問したエリオ、その隣にキャロ。
 更にスバル、ティアナとゲンヤ。
 はやてやシグナムたちの姿もある。
 皆、クロノに呼び出されてここに来ていた。
 「このメンバーということは、その……フェイト、さんの」
 エリオが、恐る恐るといった感じでその名を口にする。
 エリオの視線の先で、キャロが小さく身を震わせた。
 「あぁ。
  なかなか気持ちのいい話にはならないが……付き合ってくれないか。
  まずは廃工場で見つかったものについて。
  適当に言わせてもらうから、間違いなどあったら構わずに口を挟んでほしい」
 そう前置きして、クロノが話し出した。
 「廃工場で見つかったあれは、大きく損壊されていた。
  遺体に損壊があった場合、その原因は大きく二つに分かれる。
  故意ではなかった場合と、故意であった場合とだ。
  戦闘による被害者などは、前者に分類されることが多い。
  しかし、今回の物は明らかに後者だ。
  では、後者の場合の原因は何か。
  これも、いくつかに大別することが出来る。
  まずは、怨恨。
  殺すだけでは飽き足らず――というものだ。
  代表的なのは、滅多刺しだな。
  今回のように首だけを切り取るというものもある。
  だから、この可能性は捨て切れなかった。
  次に、運搬。
  どこかに運ぶために、細かくしたというものだ。
  だがその場合、首だけ取り除くというのは効果が少ない。
  そう、首だけが失われているんだ。
  腕や足ではない。
  これは一つの特徴と言える。
  では、首のない遺体を作る理由は何か。
  それは主に、身元を隠すためだ。
  個人を特定する標識とも言える顔を取り去ることで、それが誰なのか分かりにくくする。
  だが、それも身につけているものから個人を特定できる物全てを取り除いて、の話だ。
  執務官服にブローチ……特定はあまりにも容易だった」
 そこまで話して、クロノは一息ついた。
 口を挟むものはいない。
 俯きそうになるキャロの手をエリオが握っている。
 「よって、今回の損壊については、一般論は当てはめるべきではない。
  そう結論付けるのが適当だと思う」
 「遠回りだったな……」
 やや疲れた感じでヴィータが突っ込みを入れた。
 「じゃあ、一足飛びに結論を言おうか?」
 「結論?」
 ヴィータが訝しげに首を傾げる。
 「あの首のない磔を作ったのはあなただ……ゲンヤ・ナカジマ三佐」
 突然の言葉に、沈黙が場を支配した。



 ジワリとした静寂の後に、視線がゲンヤに集まる。
 それを待っていたかのように、ゲンヤがにやりと笑って見せた。
 「ほう。
  俺がやったってぇなら、証拠見せてみな」
 挑発するようなゲンヤの言葉に、クロノはゆっくりと息を吐いた。
 「証拠は……」
 しかし、その言葉が終わる前に小さな騎士が動いた。
 「あなたが、なぜ!?」
 エリオが、ゲンヤに掴みかかっていた。
 「落ち着くんだ」
 宥めるようにクロノがエリオを押さえる。
 ゲンヤの上着から手を離し、エリオはクロノを睨むように見つめた。
 「落ち着いてなんていられない!
  フェイトさんが目の前の人に殺されたって聞かされて……!」
 「誰がそんなことを言ったんだ?」
 「え?」
 「僕は、あの磔を作ったのがナカジマ三佐だと言っただけだ。
  フェイト……ハラオウン執務官を殺害したなんて一言も言っていない」
 「どう、いう……」
 「このところ、僕も出来合いの総菜を買う機会が増えてね。
  ある惣菜屋の主人とは結構懇意になったんだ」
 「何ですか、急に……」
 「黙って聞くんだ。
  そこの主人、素材からこだわっているということで、親しくなった客には仕入れをしている業者について教えてくれるんだ。
  こちらが求めれば、住所まで」
 「それがどうしたんですか!」
 「教えられたその業者をしらみつぶしに回ってみたんだ。
  そうしたら、見つけた。
  とある人物が、食肉処理後の廃棄物をまとめて引き取っていったとね」
 「とある人物……?」
 「誰ですか?」
 「それが、どういった関係が……」
 「それだけじゃない。
  ほぼ時期を同じくして廃棄予定のマネキン……それも女性タイプを一体、購入した個人がいることが分かった。
  偽名を使ったようだが、写真による確認を行ったところある人物だとはっきり証言された」
 「それが、さっきの引き取っていったヤツと同じだったと?」 
 「えぇ」
 「何なんですか!」
 「ゲンヤ・ナカジマ三佐、あなた、死体に似せた人形を作りましたね?」
 「え?」
 エリオが、毒気を抜かれたような表情でクロノを見、続いてゲンヤを見た。
 他の面々も似たり寄ったりの所作を行う。
 「しかし、あなたほどの人が仕組んだにしては甘すぎる。
  ただの時間稼ぎのつもりだった……違いますか?」
 「どうも俺のことを買い被りすぎてる気がするんだがね。
  あぁ、そうさ。
  要は目的とする事が終わるまで、お嬢が死んだことになっていればいい」
 「なぜ、そんなことを?」
 クロノの問いに、ゲンヤは意外そうな顔を見せた。
 「本気で聞いてるわけじゃないだろ?
  まぁ、そうだな。
  強いて言うなら、人生も半分を過ぎたためかもな。
  後は失うばかりだ。
  娘のちょいとした願いを勝手に叶えるくらい、やってみようかと思ってね」
 「娘、ですか。
  あなたの娘が関わっている以上、ティアナ・ランスターの証言にも信憑性は低いと言わざるをえない」
 「ほう」
 ゲンヤが眉を持ち上げて見せたそのタイミングで、クロノの前にディスプレイが開いた。
 『クロノ・ハラオウン執務官、緊急事態です!
  高町教導官を見失いました!』
 「場所は」
 『イーストルモア地区です。
  ベリルらを発見したため追跡中との連絡は受けたのですが、こちらが指定した地点に着いたときにはもう。
  おそらくは、ベリルのアジトに乗り込んだのではないかと』
 「ベリルか」
 『最悪、命にも関わりかねない事態です。
  われわれは現在急行しております。
  執務官も、可能でしたら』
 「あぁ、行くよ」
 そういうと、クロノは画面を閉じた。
 「僕たちも行きましょう!」
 エリオがクロノに詰め寄った。
 「そんなに急ぐことはないさ」
 しかし、クロノはそれを窘めるようにエリオの肩を叩いた。
 「なのはさんが危ないんですよ!?」
 「血気に逸った結果なら、ミスをして捕まっているかもしれないな」
 「なら、なおのこと!」
 「二人揃えば、問題ないだろう」
 「二人?
  捜査員の方とですか?」
 「違う。
  もっと深いつながりのある者とだ」
 「そんな人、あそこには」
 「いるさ。
  ……そうですよね、ナカジマ三佐」
 「あぁ、いるな。
  一人一人なら確かに危なっかしいところもあるが、二人揃えば恐いものなしって奴らだ」
 「だから、誰が」
 「ルクレチア、といいましたかね」
 「ルクレチア・スノウだそうだ」
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