Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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僕のシンシアへ
手を伸ばしても、取ってもらえるとは限らないから
伸ばしもしない手を、誰も掴んでくれるはずはないんだ。

こんばんは
フェルゼです。

限定解除の件を忘れそうな予感がひしひししています。
私のカニみそレベルの脳が嘆かわしい……!

さて、今回更新はカテゴリリリカル。
短編になります。
登場されるのは、某フェレットさん。
こんだけ(と言うほどでもないですかね?)書いてて、一度も登場願った覚えがないのに気付きました。
……なかったですよね?
組合せとしましては片想い、ですが……えぇ、当ブログのカテゴリリリカルの方向性はぶれないわけですよ。
あぁ、甘い話を書けるようになりたい……。




 届かない―――

 君はそう言って、涙を流した。



 僕のシンシアへ



 朝。
 彼女と出かけるのだと、はしゃぐ君を僕は見送った。
 付いて行くこともできたのだけれど。
 君の肩の上、同じ景色を眺めることもできたのだけれど。
 僕は見送った。
 知っていたから、君の見る景色。
 分かっていたから、君の見る風景。
 どこへ行こうと。
 誰と行こうと。
 彼女がいる限り、君の視界は同じだから。
 彼女が中心にいる、君の視界は変わらないから。
 だから僕は見送った。
 ありったけの笑顔で。
 なけなしの笑顔で。

 昼。
 僕は君を思った。
 君は今頃、彼女と。
 会いたいと、思った。
 君に会いに行きたいと。
 それは簡単な話。
 僕は君たちの行き先を知っている。
 容易にそこへとたどり着く術も持っている。
 でも。
 君は今頃、彼女と。
 会えないと、思った。
 君に会いに行っても。
 それは簡単な予想。
 僕は君たちの所へ行ける。
 君たちはおそらく、そこにいるだろう。
 もしかしたら、僕にも気付くかもしれない。
 けれども、それだけ。
 それだけなんだ。
 君の視界の中心は彼女で。
 君の世界の真ん中に、彼女が居続けることに変わりない。
 だから僕はここにいる。
 ここで君をただ、思っている。

 夜。
 彼女と遊んだと、嬉しそうに告げる君を僕は見ていた。
 嬉しそうな声で、泣きながら告げる君を。
 一緒に遊んだよ、と。
 君は笑った。
 届かないんだよ、と。
 君は涙を流した。
 一日、一緒にいて。
 どれだけ近づいても、届かないんだよ。
 そう言って君は、涙を流した。
 どれだけ距離を縮めても。
 埋まらない距離はある。
 それは例えば。
 僕と目の前にいる君の距離。
 知っているよ。
 だから何も言わないんだ。
 知っているよ。
 だから何もできないんだ。
 拭うことができたら。
 君の涙を拭うことができたら。
 それはどんなにいいだろう。
 “僕がいるから、泣かないで”
 そう言って、君の涙を拭えたなら。
 でもそれは、この脚本にはない。
 それは僕の役割じゃないんだ。
 わかっている。
 どうすれば、君の望み通りになるのか。
 ―――呼べばいい。
 ただ、彼女を呼べば。
 きっと、彼女は駆け付けて。
 君は笑顔を取り戻すだろう。
 わかっている。
 だから。
 僕は、彼女を呼ばない。
 今は泣かせてあげる。
 君を、存分に泣かせてあげる。
 いつか、彼女の前でその涙を流す日まで。
 心ごとすべて、見せてしまう日まで。
 ごめんね。
 今だけは、涙だけは、僕だけに、見せていて。




 後書き
 道化・引力.
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