Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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しーく
役割と言う名の
力関係において。

こんばんは
フェルゼです。

実際の力関係がどうであれ、
放り込まれたシチュエーション上の力関係の影響って大きいらしいですね。
どこで聞いた話だかは忘れましたが。

さて、今回更新はカテゴリVOCALOID。
ネギトロだと言い張ってみる。
お二人の出番はほとんどないけれども。
そんな文章です。
お付き合いいただける片は、以下からどうぞ。


 「メイコ姉、ちょっといい?」
 収録を終えた帰り。
 そう言って私を呼びとめたのは、黄色い双子の片割れの声。
 「なに?」
 振り返れば、案の定もう一人も一緒にいた。
 「最近、ミク姉のこと、見た?」
 「見たって、どういうこと?
  メディアへの露出なら、変わっていないと思うけど」
 ランキング番組を見ればその姿が流れていることもあるし、CDショップへ行けば当然のように並んでいるし。
 そういう意味では、よく見ているけれども。
 「そうじゃなくて、本人を」
 「そうねぇ……」
 ミク本人を、か。
 「そう言われると、前回の収録が終わってから会ってないわね」
 「でしょ!
  前回の収録って、もう一カ月以上前になるし」
 「それが?」
 「それでさ、こんなにミク姉に合わないことも珍しいって思ってさ、一緒に遊びに行こうと思ったの」
 「ふぅん?」
 「そしたら、電話は繋がらないし、アパートにもいないみたいだし」
 「旅行にでも行ってるんじゃない?
  次の打ち合わせも収録も、一カ月以上後だってことなんだし。
  ブラっと出かけたのかもよ」
 「ミク姉が、一人で?」
 「一人は……ないかも。
  性格的に。
  じゃあ、ルカ辺りと休み合わせて行ったのかも」
 「あたし達がアパート見に行ったの、ちょうど一週間前」
 「一週間……ルカは収録中か」
 「ね!
  なんかおかしいって!」
 「そう、ねぇ。
  でも、私は何も聞いてないわ。
  他のコ達には聞いたの?」
 「メイコ姉が収録中に聞いたよ。
  あとは、今日きてないルカ姉だけ」
 「一番知ってそうなとこね」
 「うん」
 「いいわ、帰りにルカのところに寄って聞いてきてあげる」
 「やった!」
 いい加減遅い時間だし、子供がふらふらしているのはあまり好ましくない。
 それに、ルカのところに寄れば、うまくいけば軽く一杯、付き合ってもらえるかもしれないし。

 外から見たルカの部屋には灯が点っていて、在室しているのが分かった。
 アパートの入口でドアを開けてもらおうとしたら住人がオートロックを開けて入って行ったからそのあとに続いた。
 部屋の前でチャイム押せばいいよわね。
 一台のエレベーターはすでに上層階にいて。
 ルカの部屋も結構な上層階だから、階段でいくのはちょっと勘弁。
 少し待つと、もう一台のエレベーターが下りてきた。
 数回来たことのあるフロアで降りて部屋番号を探す、と。
 「あら、ルカじゃない」
 ちょうど玄関のノブを引こうとしていたルカを発見。
 引こうと?
 あれ?
 ルカの部屋、灯りついてたけど。
 私が呼びかけた声に、ルカはビクッと大きく体を震わせた。
 え?
 なんでそんな反応?
 「メ、メイコさんどうさ」
 引きかけた扉を閉めようとルカが動いて。
 「ルカ―!
  お帰り―!」
 バコンと扉が開いた。
 内側から。
 その勢いに押されたルカだけど、すぐに我を取り戻すと扉を開けた当人を部屋に押し込み、扉を元通り閉めた。
 「メイコさん、どうされたんですか?」
 「いやあんたそれ、何もフォローできてないから」
 ふわりとこちらを向いた顔も声も全て満点の演技だったけど、タイミングだけが赤点だった。
 扉の向こうからはルカ―?なんて気の抜けた声もする。
 なんていうかもう、ダメダメだ。
 「ミクよね」
 「……そうですね」
 「あれ、ミクよね」
 「ミクですね」
 「最近見かけなかったのは、あんたが飼ってたからなのね」
 「いや別に飼ってるなんてそんな」
 「ベビードールと首輪だけしか身につけさせてないのを、私は他にどう表現したらしいのかしら」
 「……メイコさん」
 「なに?」
 「少しだけ、数分だけそこで待っていていただけますか」
 「いいけど」
 そう返すとルカは、素早く扉を開けて部屋に入って行った。
 あ、ルカお帰り―!なんで扉閉めちゃったの?ルカ?え、なにル、んむぅ!?
 聞いてない。
 ミクの何やらくぐもった声なんて聞いてない。
 その後、音源はリビングの扉の向こうに移動したらしく、数分間の静寂がやってきた。
 ガチャリ
 扉が開いたのは唐突。
 「お待たせしました」
 「それで、なにかしら」
 「これ、貰いものなのですが、よろしければ」
 そう言ってルカが差し出したのは。
 「え、ちょっとこんなの貰っちゃってもいいの?」
 某高級ブランデー。
 「えぇ、構いません。
  それに実は私、ブランデーはちょっと」
 「ワインは好きなのにね」
 「それで、メイコさん」
 ルカの声が、変わった。
 それで私は理解する。
 「ありがとうルカ。
  私はただミクの居場所を知らないか聞きに来ただけなのに、こんなの貰っちゃって。
  でも残念ね、ルカも知らないなんて。
  きっと、旅行にでも行ったのね。
  どっか遠いところへ」
 「そうですね。
  でも、次の打ち合わせまでには戻ってきますよ」
 「そうでしょうね」
 やれやれと返す私の頭は上の空。
 手の中のこれに合うおつまみは何かしら、その一点だけだった。
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