Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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夢から醒めた夢
遠ざかった恐れも、
恐れに変わりなくて。

こんばんは
フェルゼです。

某ルカさんがミクさんに虐められて悦んでいるっぽいPVを見てふと思いついてから早数ヶ月。
発掘しましたので、載せることにしました。
という感じで、あちらの方には載せたのですが、
ついでにこっちにも載せることにしました。

まー、なんだ。
Tが書けてないんですよねぶっちゃけると。

そんなこんなで、今回更新はカテゴリVOCALOID。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 「はい、オッケー。
  ミクちゃん、ルカさん、おつか――」
 「すみませんでしたぁ!」
 監督の声が、ミクの土下座に遮られて消えた。



 「いいのよ、ミクさん。
  これも仕事なのだから、何も気にすることはないわ」
 落ちてきた前髪を払いつつ答えるルカの声は、いつも通りに穏やかなままだ。
 仄かに漂わせる笑みも、何も変わらない。
 PVという劇中とはいえあれだけの扱いを受けたのに……と感嘆に似た思いを抱いて一歩出遅れたスタッフより早く、ミクがルカに駆け寄って、小道具を外した。
 「ありがとう。
  慣れない物だからかしら、やっぱりちょっと、窮屈だったの」
 「いえ、あの!」
 直立不動で、今にも敬礼するんじゃないかというミクの様子に、スタッフから笑みがこぼれた。
 この業界に入った順としては先輩にあたるミクだが、歌い始めた理由が巡音ルカという学校の先輩だというのは、ミクを知る人達全ての知るところだ。
 ミクの薦めということで、留学から帰ってきたルカに早速会いに行ったプロジェクトマネージャが、帰ってくるなりメンバーを招集したというのも、滅多にないエピソードの一つとしてこのプロジェクトを飾る一つの色になっている。
 そんな、ある意味プロジェクトの顔であるミク以上にセンセーショナルに登場したルカだが、どんなにちやほやされても控え目な笑みを絶やさない。
 そして、業界の先輩であり学校の後輩であるミクには特に、優しい笑みを見せる。

 「ありがとう、ルカさん。
  歌の出番はないのに、いつものイメージを壊してみるのも面白いっていう意見に賛同して出てくれて。
  でも、嫌じゃなかった?
  ごめんね」
 小さく頭を下げつつ、監督がルカに話しかけた。
 常日頃は出演者に対して厳しい態度で臨む彼だが、一度撮影が終われば人懐こい顔を見せる。
 「いいえ。
  私、ミクさんと共演できるのなら、どんな形であってもすごく嬉しいんです」
 「そうなの?
  ミクちゃんは、幸せ者だねぇ。
  ルカさんにそんなこと言ってもらえるなんて」
 「いえ!
  私なんて、そんなっ!」
 スタッフ間の評価もメディアからの評価も「天真爛漫」のミクが、砕けんばかりに固まっていた。
 「でもほんと、ルカさんがオーケーしてくれるなんて思わなかったからさ」
 「お話しいただいて、私もびっくりしたんですよ。
  それで、ミクさんと相談して」
 「そうだったんだ」
 「はい」
 「で、いつもの通り?」
 「えぇ、ミクさんの判断に任せたんです」
 だって、ミクさんの歌なんですから。そう言ってルカは微笑んだ。
 

 「この後打ち上げやろうと思うんだけど、ルカさんどうする?
  ミクちゃんは……今の時間からだと、一時間くらいかな。
  少しなら参加してくれるっていうのは聞いてるんだけど」
 「そうですね……それでは、私も一時間で失礼させていただきます。
  次の曲は私も歌わせていただけるとのことなので、喉を慣らしておこうかと思います」
 「真面目だねぇ、あれだけの評価があるのに」
 「ありがとうございます」
 ルカが小さく頭を下げた。
 「さて、と。
  じゃあ、撤収するから!
  各自、取りかかって!」
 監督の声に、スタッフがそれぞれの片付けに入る。
 ミクとルカも、一度楽屋に戻らなくてはならない。

 スタッフに背を向けて着替えに向かったミクが、ルカの横を通り過ぎる。
 ルカは、監督に返事をしたときの姿勢のまま動いていない。
 ミクの動きが少し、鈍くなったことを、スタッフは気付かない。
 擦れ違うミクに表情を変えないまま、ルカが囁いたことに誰も気づかない。
 だから。
 「今夜は覚悟しておきなさい」とルカが囁いたことを、二人以外誰も知らない。
 
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