Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
The T 5
傾いたまま
止まる。

こんばんは
フェルゼです。

土曜に出先で食べたイカの内臓が、どうもよくなかったようです。
よく、なかった、よう、です……

今回更新はカテゴリリリカル。
先々週の続きです。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。



 「失礼する」
 その日、シグナムが訪れたのは。
 「おや、これは珍しいですね」
 「資料を探していてな」
 「プレシア・テスタロッサの件なら、ほらそこの隅にある返却済の棚にまとめてありますよ」
 「誰か、来たのか」
 「なのはが、つい先日です」
 「何か言っていなかったか」
 「いえ……あの件絡みの事なのは間違いないでしょうが、ここで分かったことも次の手も、僕は何も聞いていません」
 「やはり誰にも相談せずに動くつもりなのか、高町なのはは」
 シグナムの言葉に、彼は苦笑を浮かべるだけだった。
 「では、私も借りさせていただく。
  ユーノ・スクライア司書長」
 どうぞ、そう言い残してユーノは無限書庫の奥へと戻っていった。
 その背中に、皆と同じ悲しさをシグナムは見て取った。
 誰もが、何らかの形で協力はできるのだ。
 そして誰もがそれを望んでいる。
 事が事であり、公的な捜査も動いている。
 だから、動きにくいなどということもない。
 けれども、その全てをなのはは断った。
 ごく表層の協力と、なのはが抜けることで生じる仕事の穴を埋めること、それだけを頼んで、なのはは動いていた。
 
 パタリと、シグナムは最後のページを閉じた。
 そして、その本を右側に積む。
 右には見終わった資料。
 左にはメモを取っていた用紙の残り。
 「これで全部、か」
 呟いて、シグナムは手元のメモに目を落とした。
 分かったことはあまり多くない。
 テスタロッサという家系は、優秀でありながらも敵はほとんどいなかったということ。
 もちろんその業績を妬むものもいただろうが、事件に結びつくようなものは無いと思われること。
 諸々の条件を考慮して、一番可能性が高いと考えられるのが、プレシア・テスタロッサが“公的に”関わっていたプロジェクト。
 あとは、上の許可を得て捜査資料を見返すことになりそうだ。

 「その様子だと、目ぼしい情報はなかったか」
 「あぁ」
 顔を上げたシグナムの前には、クロノがいた。
 「よもや、ここの資料をまだ調べていないなどということはあるまい」
 「調べてはいる。
  しかし、自分で見たわけではないからな。
  ……なのはも、見たらしいが」
 「らしいな」

 「それで、何の用だ?
  資料調査の現場なぞに顔を出す立場ではないはずだが」
 「まぁ、そう言ってくれるな。
  肩書ってのは、時に厄介だからな」
 「だからと言って、放置もできない、と」
 「当然だ」
 「しかし、お前が現場に出ねばならないほど人員は足りていないということか?」
 「いや、足りないわけじゃない。
  十分ではないかもしれないが、相応の人手が割かれている」
 「何か、不満なようだな」
 「……」
 「どうせ聞くものは私だけだ。
  口にしたところで、問題あるまい。
  主に関する雑言なら、相応の覚悟をしてもらう必要があるが」
 「そんなことは言わないさ。
  ただ……そうだな、身内の事件ということで目が曇っているのは認めるが、上層部に真剣さが足りない気がしてね」
 「そうなのか?
  私には、そこまでは分からないが」
 「少なくとも現場は懸命だからな。
  こうやって実際に動いていると、忘れそうになる」
 「ただの勘違い……というには、度が過ぎているのだろうな。
  お前が態々口にした程だ」
 「いや、勘違いかもしれない。
  さっきも言ったように、今の僕はあまり冷静ではない」
 「それは、お互い様だろう」
 「……あぁ」
 「テスタロッサに関わったものが、冷静でいられるはずはない。
  ――そうだな、お前の一番身近な人間も、テスタロッサとは関係が深かったな。
  だから、私に促されるまで言えなかったのか」
 「エイミィのことか。
  あぁ、彼女もずいぶんショックを受けているよ」
 「仕方のないことだ。
  気遣ってやれ。
  生きてる人間は、傷ついていく」
 「……そう、だな。
  聞いてくれてありがとう」
 「いや」
 軽く手を上げたクロノが書庫の奥へ歩いていくのを、シグナムは背を向けたままで見送った。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2005 Empty Dumpty all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。