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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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世界迷作なのフェイ あかずきん 後編
今宵も一人で
まみむめも

こんばんは
フェルゼです。

生活習慣を、少しづつ変えてみております。
何か改善されるといいな。
……リンク先の方々で、更新が長いこと途絶えてる方もおられるのですが、
体調崩されていないといいのですけれども。

さて、今回更新は前回の続き。
地の文の口調が変わって後編です。
愛情ってなんですか?
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。



 それはある日の事でした。
 なのはちゃんが森を進んでいくと、フードを目深にかぶった女の子に会いました。
 女の子は妙に掠れた、小さな声で言いました。
 「とてもお腹が空いてるんだ。
  そのチーズとミルクを半分だけ分けてくれない?」
 なのはちゃんは少し考えて言いました。
 「ごめんなさい。
  お母さんに届ける分が減ってしまうから、あげられないの」
 女の子は言いました。
 「そう。
  分かった」
 続けて、女の子は問いました。
 「針の道とピンの道、どっちを行くの?」
 なのはちゃんは答えました。
 「ピンの道」



 「急げ急げ!」
 先ほどのフードをかぶった女の子が、一生懸命駆けています。
 駆け抜けているのは針の道。
 「よっ!」
 木の根を飛び越えた拍子に、フードが脱げてしまいました。
 ぴょこり
 飛び出たのは、金色ふわふわの犬っぽい耳。
 そう、女の子はフェイトちゃんでした。
 「ととと」
 慌ててフードの中に戻します。
 「先回りして、あの子のお母さんに出かけてもらって、私がお母さんに変装すれば、きっと油断してくれるよね」

 一生懸命走ったので、なのはちゃんよりもずいぶんと早くなのはちゃんのお母さんの所に着くことが出来ました。

 ノックノック
 「すみません、フェイトというものですが」
 礼儀正しいフェイトちゃんは、顔を出したなのはちゃんのお母さんにちゃんと自己紹介をしました。
 「あ、あなたがフェイトちゃんね!」
 お母さん、なぜか手をうって嬉しそう。
 「え? 私を知って?」
 「さ、どうぞどうぞ」
 わけもわからず招き入れられてしまったフェイトちゃん。
 でも、いきなり追い出されずに済んだのは作戦通りです。
 お茶とかお菓子とかふるまわれてしまいました。
 「あ、私ちょっと出てくるから。
  留守番頼んでいいかしら?」
 「あ、はい」
 出かけて行く後姿を見ながら、こんなにも都合よくいっていいのかと思うフェイトちゃんでした。
 「さ、変装変装。
  ……ん?
  ねぐりじぇ?」



 一方、ピンの道では。
 「あ、なのはなのは」
 「あれ? どうしたのお母さん。
  寝てなくても――」
 「今ね、うちにフェイトちゃんがいるのよ」
 次の瞬間、なのはちゃんは衝撃波だけを残してその場から消えていました。
 マッハなのはちゃん。
 もう、猛ダッシュです。
 花畑とかなんとか、横目にも見ずに猛ダッシュ。
 「お母さん!」
 バタン!
 戸を蹴破る勢いで開け放ちました。
 バコン! と壁にぶつかった戸は、ギィィ……と小さな悲鳴にも似た音を立てて閉まりました。
 「!!!?」
 突然の、あまりのも急な来訪者に驚いて、フェイトちゃんは小さく飛びあがってしまいました。
 でもすぐに、それは狙っていた女の子だと分かって、小さく安堵の息を漏らしました。
 "どうしようかな……"
 フェイトちゃんの脳内作戦会議です。
 "声をちょっと涸らした感じにして、風邪引いたって言って……。
  用事を頼んで、外に出てもらった隙に罠を張っておいて……"
 などと色々考えを巡らせるフェイトちゃんですが、なにやらその間に、なのはちゃんがゆっくりとフェイトちゃんに歩み寄っています。
 「ねぇ、お母さん……」
 急に近くに感じた声に、
 「ひゃっ!?」
 フェイトちゃんびっくり。
 「アレ? お母さん、声いつもと違うよ?」
 知っているくせに、とぼけたふりして聞くなのはちゃんです。
 「あ、あぁ……ちょっと風邪引いちゃって」
 「それは大変だね。じゃあ、ちゃんとベッドに横になっていないとダメだよ」
 じゅるり
 「それでね、お母さん。
  なのはね、好きな人が出来たの」
 「へ、へぇ……誰だい?」
 「あのね、森に棲んでるオオカミさんでね」
 フェイトちゃんの野生の勘が走り、背筋がゾクリと震えました。
 「フェイトちゃん、って言うの」
 次の声は、本当に不意打ちでした。
 耳元で、熱い空気が震えて、フェイトちゃんは漏れそうになった声を殺すのに精一杯。
 「な、なのは!?」
 「うん、なぁに? お母さん」
 「ここまで走ってきて疲れたろ!?
  そこにお茶があるから、お飲み」
 「うーん……私、お茶よりも飲みたいものがあるの」
 「何だい?」
 話題をそらせた、とほっとするフェイトちゃん。
 「あのね、フェイトちゃんのが飲みたいの」
 "私のナニー!?"
 叫びだしたくなるのを必死で耐えます。
 「きっとおいしいんだろうな……フェイトちゃんの」
 なのはちゃん、うっとり。
 背筋の震えが大きくなって、フェイトちゃんは頭まで布団をかぶって向こうを向いてしまいました。
 「アレ? お母さんどうしたの?」
 「ど、どうもしないよ。
  それよりなのは、走ってきて疲れたろ。
  戸棚にお菓子があるからお食べ」
 「うーん……私、お菓子よりも食べたいものがあるの」
 「……なんだい?」
 もう、嫌な予感しかしません。
 「あのね、フェイトちゃんを食べたいの」
 "ばれたら食われる!?"
 本能の警鐘は最大音量で鳴りっぱなしです。
 "逃げなきゃダメだ、逃げなきゃダメだ、逃げなきゃダメだ!"
 ちらりと布団から頭だけを出して見回しました。
 入り口のドア……なのはちゃんがちょうど途中に立っています。
 窓……なのはちゃんの方が近いです。
 ベッドの方が近いのは……明かり取りの窓だけです。
 高すぎます、小さすぎます、使えません。
 "逃げれない!?"
 実は袋のネズミ、フェイトちゃん。
 オオカミ少女なのに。
 その間にも、なのはちゃんはうっとりと告げながら歩み寄ってきています。
 「フェイトちゃんってね、すごいきれいな声なんだ。
  鳴き声は、どんなに素敵なのかな……ふふっ、楽しみ」
 "ひいぃ……"
 もはや縮こまることしか出来ないフェイトちゃん。
 「それとね、フェイトちゃんってね、髪がすごい綺麗なの」
 ギシリ……と枕元の床が鳴りました。
 フェイトちゃんは反射的に布団を引き上げようとして。
 がしっ……と、なのはちゃんに阻まれてしまいました。
 "!?"
 空いている方の手で、なのはちゃんはフェイトちゃんのナイトキャップを取り上げます。
 バサッと、金の髪が散らばりました。
 「こんな感じのね、すごい綺麗な髪なんだよ……」
 告げて、髪を一房手に取り顔を近づけました。
 「いい匂い……」
 "も、もしかして、始めっからバレてた!?"
 ここに至り、フェイトちゃんもようやく嵌められたことに気付きました。
 時既に遅く、フェイトちゃんの髪はなのはちゃんの手の中です。
 徐々にシーツを捲られていき、やがて肩から背中にかけてが露になって。
 なのはちゃんの手が、止まりました。
 "もしかして、助かるの?"
 一縷の淡い希望。
 「始めっからベッドに寝ていてくれているだけでも我慢するの大変だったんだよ?
  でも、それに加えて……こんな薄いネグリジェなんて、ねぇ?
  これはもう、即この場でおいしく頂いてもいいってことだよね。
  ね、フェイトちゃん」
 名を呼ばれて。
 思わずフェイトちゃんはズザッと反射的になのはちゃんから距離をとりました。
 幸いにも、髪はするりとなのはちゃんの手から落ちました。
 「ほ、ほらなのは。
  そういうことはさ、やっぱりお互いもっとよく知ってから……」
 「私、フェイトちゃんのことよく知ってるよ。
  ずっと見てたんだから」
 "ひぃ!?"
 「それで、フェイトちゃんはこれからなのはのこと知ってくれればいいの。
  色々と、ね」
 「な、ななななのは!」
 「うん?」
 「やっぱ、こういうことにはさ、愛情が大切だと思うんだ。
  お互いの愛情があって初めて……」
 「フェイトちゃんフェイトちゃん。
  いいこと教えてあげるの」
 「な、何かな」
 「今この場においてね、愛とはズバリなのはのことなの」
 "んなわけあるかー!"
 もう叫ぶ声すら出ません。
 ずるずると距離をとるように下がっていくフェイトちゃんと、それを追うなのはちゃん。
 数秒……の間もなく。
 ドンッ……と、フェイトちゃんの背が壁にぶつかりました。
 フェイトちゃんの頬を冷や汗が流れ、そして次の瞬間。
 なのはちゃんが、華麗に飛びました。
 「フェーイトちゃーん!」
 「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 
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