Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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世界迷作なのフェイ あかずきん 前編
こんばんは、モルトン瓶の精です
嘘です。

こんばんは
フェルゼです。

ジュースだと思って飲んだら、お酒でした。
あつい。
あつい。

さて、今回更新もカテゴリリリカル。
世界名作なのフェイ?ですかね。
行く先を定めず飛び出したので、着地点が見えません。
さて、後半はどうなることやら……。
登場されるのは、とりあえずフェイトさん、とさせてもらいます。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。
 
 狼男というものをご存知だろうか。
 満月の夜に月明かりに照らされると月の魔力に魅かれてケモノへと変身してしまうという、悲しい定めをもった男達のことである。
 しかしながら、それは男に限った話ではないことは、あまり知られていない。
 幸いにも今宵は満月。
 人里離れた森を見下ろしてみるがいい。
 自らの定めを知り、一人森の中に逃げ込んだ人影。
 差し込む月明かりに、縫い付けられたように動かない少女の姿。
 その真紅の瞳を限界まで見開いて、睨むように月を見上げる。
 少女の様相が変化していく。
 ギチギチと引きつるような音が、こちらまで聞こえてくるようだ。
 「うあ、ぁ」
 体内から引きずり出されるようなその感覚に、少女が呻き声をあげた。
 低い呻きは、徐々に叫びへと変わっていく。
 周囲の空気までもが、引きずられるように張り詰めて行く。
 ざわざわと警戒の音を立てていた木々も鳴りをひそめて。
 異様な気配に、動物達は走り去る。
 「――――――ッ!」
 少女は一人、月光の下でもう音になっていない叫びと共に大きく背を逸らした。
 違和感。
 違和感。
 違和感。
 痛みはない。
 あるのはただ、脳内を掻きまわされるような不快感。
 やがて。
 ズリズリと、人間にはあり得ないものが現れて。
 少女は疲れ切ったように崩れ落ちた。
 「あ…ぁ…」
 ゆらり、幽鬼のように立ち上がり。
 そして、長い金の髪がブワリと大きく振られた。
 「は、ぁ」
 大きく肩で息をつく。
 変身が終わった。
 もうそこには人間の少女の姿はない。
 「が、がぉー」
 そう、フェイト・テスタロッサは、オオカミ少女なのである。



 「はぁ」
 フェイトは大きくため息をついた。
 にゅっと頭から突き出たふわふわの耳が垂れて、金色のもふもふした毛に覆われたしっぽも同調するようにしゅんとする。
 「やだなぁ。人間、襲いたくないなぁ」
 フェイトにはばっちり理性が残っていた。
 若干本能は強くなるが、我を失うほどではない。
 けれども、だからこそヒトを襲うという行為には踏み切れなかった。
 狼人間達には、悲しい宿命がある。
 それは、満月の夜にヒトでないものに変わってしまうことだけではない。
 ヒトとケモノとを繰り返す中で、ヒトとしての生体情報を失っていってしまうのだ。
 そのために、成人を迎えた狼人間は時折ヒトの生体情報を含む物体を摂取しなければならない。
 それは血液や肉片などであるが、吸血能力の高くない彼らは血を吸おうとしては相手を出血多量に至らしめ、肉片を得ようとしては食い殺してしまう。
 理性を失いがちな彼らの、加減を忘れた行動の結果だ。
 フェイトもそろそろオオカミ少女としての成人を迎えるが、他の狼人間達と比べると、理性が非常に強く残っている。
 だから、おそらく相手を殺してしまうことはないだろう。
 ただ、他人の血液等を口にすることに強い躊躇いがあるだけである。
 「やだなぁ……」
 呟いて、思い出した。
 「そうだ、あそこいこ」

 「よいしょ……っと」
 フェイトが腰を下ろしたのは、大きな岩の上。
 丘の中腹にあるこの岩に腰かけると、木々の向こうに野原の様子が見えた。
 「のどかだなぁ……」
 言い忘れていたが、昼間である。
 フェイトは、月が半分欠けるまでは、この姿のままなのだった。
 時折、野原を人が通りかかる。
 けれどもフェイトの姿は木々に隠されて見えない。
 「どうしようか、なぁ……」
 溜め息をいくらついても、時間が流れて行くだけだ。
 行動を起こさなければ、遠くないうちにフェイトは完全な獣になってしまう。
 そうすれば間違いなく、ヒトを傷つけることになる。
 「やだなぁ」
 誰かを傷つけたくはないとフェイトは思っている。
 それが例え、自分が理性を失った後としても、だ。
 
 「よし」
 フェイトは決めた。
 「ひゃく数えてから初めて見た人に、血を分けてもらおう」
 お願いしても断られるだけだろうから、そこは何とか考えよう。
 「いーち、にーい」
 目を閉じて、足をぶらつかせながらフェイトは数え始めた。
 「ななじゅしーち、ななじゅはーち」
 出来れば、血色のいい人がいいな。そんなことを思いながら、数を重ねた。
 「きゅうじゅきゅー、ひゃーくっ!」
 ぱちりと、フェイトがその紅い眼を開けた。
 視界に映るのは、野原の緑。
 フェイトがぼぉっとしていると、タタッと、視界の隅から何かが走り出てきた。
 小さな姿に、目を凝らす。
 女の子のようだ。
 年の頃は、フェイトと同じくらいだろうか。
 「よっと」
 弾みをつけて岩から降りる。
 下り坂の勢いで斜面を駆ければ、あっという間に少女のいる野原のすぐそばまできた。
 血色のいい柔らかそうな肌。
 とても元気そうだ。
 多少の血をもらうだけならたぶん、ひどいことにはならないだろう。
 そう判断をつけて。
 「よ、よし、がんばるぞー」
 フェイトは、握りこぶしを振り上げた。
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