Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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DeNature 11
揺れる、揺れる
声を出せないままに、叫びそうになる。

こんばんは
フェルゼです。

あぁ、五月も終わりますねぇ。
ここのところ、消費者になる傾向が強いです。

さて、今回更新もカテゴリリリカル。
後日譚 その二
私が私のために書いた文章になります。
前回までのお話でもういいという方、これ以上は必要ないという方はお読みにならない方がよろしいかも、しれません……。

では、以下より始めます。
我が機械仕掛けの神に捧ぐ拙い文を。





 一瞬の永遠。
 刹那の久遠。
 残光の空。
 肥大する空虚。
 流れ落ちる混沌。
 渾然する自我。

 すべてがここにあった。
 ここにはなにもなかった。

 無限の時間が集まり。
 瞬間で彼方へと消えさる。
 ここを、知っていた。
 けれども、分からなかった。
 ただ、闇が流れていた。
 黒い闇、赤い闇、青い闇。
 色を変えていくそれの中で木の葉のように漂う。
 混濁した意識の中で。
 ただ、その名を。
 思い出していた。
 「――」



 緑の風が吹いている
 そこでは空が開けていた。



 皆が帰ってから。
 なのはは、一人きり。
 フェイトが、なのはと来たがったこの丘に独りきり。
 なのはの唇が
 「さよなら」
 と動きかけて、何度も戸惑う。
 口を開いて、音を発しかけて、声にならない音だけを残してまた閉じる。
 忘れようとしたわけではない。
 終わりを告げたいわけではない。
 ただ、前を向くために。
 かつてのように、歩みだせるように。
 区切りを、付けたかった。
 それが必要だと、思っていた。
 けれど、体がそれを拒否する。
 心の奥が、それを拒否する。
 終わり得ぬ想いがなのはの体を縫いとめ、心の防御壁の、一瞬の隙をついた。

 「会いたいよ……フェイトちゃん……」

 一度突き崩されれば、崩壊は連鎖的に起こる。
 心の奥。
 隠してきた本音が、口に出せなかった言葉が溢れだして。
 「ごめんね、フェイトちゃん。
  フェイトちゃんにお世話を頼まれた鉢植え、枯れちゃった……。
  何だか、フェイトちゃんがいなくなってからどんどん元気がなくなっちゃってね……。
  あの子達も、フェイトちゃんがいないとダメだったんだよ……。
  ……私と、おんなじ、かも、しれないね。
  ね、フェイトちゃん……。
  ごめんね。
  なのはは今、ちょっと、幸せじゃないよ……」
 フェイトと話すときは笑顔でいようと決めて、ここに来たから。
 なのはは精一杯の笑顔を浮かべた。
 精一杯の、いびつな笑顔を。
 両の眼に、零れ落ちそうな涙をたたえて。
 「フェイトちゃん……どこ……?」
 その涙の堤が決壊した時。
 「フェイトちゃんフェイトちゃんフェイトちゃんフェイトちゃん―――!」
 ただ、彼女の名前だけが音となった。
 立ち尽くすなのはの瞳からは、際限なく雫が流れ落ちる。
 なのは自身でさえ、もう枯れたと思っていた涙たちが。
 「フェイト、ちゃん……」
 立っていられなくて。
 とさりと、なのはは膝をついた。
 クロノやはやてたちは、それを少し離れた所から見ていた。
 なのはからは見えないであろう場所で。
 歯を噛み締め、拳を震わせながら。
 邪魔を、しないように。
 その時。
 
 ――――――!

 感じたのは全員。
 クロノとはやてが、睨むように見た先。
 丘の上空。
 ロストロギアの反応。
 そして、空間が歪むような感覚。
 「この世界にまだロストロギアが……。
  まさか、あのロストロギアが生きていたのか!?」
 はやてがシールドを張り、クロノが戦闘態勢に入る。 
 と。
 聞こえたのは声。
 それはかつてのような気真面目な声。
 それでもどこか嬉しそうに聞こえたのは気のせいだろうか。
 声の出どころ。
 それは。
 なのはの手の中、沈黙を続けていた金のデバイス。

 "Welcome to your place, sir"

 直後。
 空間が弾けるような振動と共に、ロストロギアの反応が消えた。
 そして、唐突に現れたのは、黄金。
 なのはの口が動いて、何かを叫ぼうとする。
 けれども、詰まったかのように言葉は現れず。
 なのはは頭を振った。
 詰まった言葉を、振り落して。
 バルディッシュを握りしめたなのはが宙を駆け、ゆっくりと地面に落下していた彼女を抱き締めた。


 「一体、何が起こったんやろうな」
 はやてが呟く。
 「詳しいことは分からない。
  ロストロギアが強制的に時空転移させる効果を持っていたのかもしれない。
  フェイトの転移魔法と何らかの干渉を生じたのかもしれない。
  だが、消失してしまった以上調査は不可能だな……」
 「そっか」
 「だが一つだけ、確かなことがある」
 「なんや?」
 「フェイトがなのはたちのもとに帰った、それだけは確かだろ?」
 「……あぁ。それは、紛れもないな」
 それ以上何も言わず。
 二人も他の面々と同じように黙って、ただ笑顔で見つめた。
 当惑した表情を浮かべたフェイトに縋りつくように泣きじゃくるなのはと、駆け寄ってただギュッと抱きついたヴィヴィオを。

 それ以降。
 三人が離れ離れになったという話は聞かない。








 後書き
 安直な救いに走るな……と
 そう、思われるかもしれません。
 長編の構成できない私には、このようにすることしかできず、
 力のなさを悔やむばかりです。
 ある程度の長さのものが書ければ、その過程で皆様に納得いただけるものにできたかもしれない。
 そう考えると、これは私が扱うべきではなかったのかな……とも思います。
 
 寂しさのまま、悲しさのままで収束させる方法もありました。
 けれども、どうしても、私は。
 幸せに、なって欲しかった。
 いつもの、我が侭ですね。

 ちなみに、冒頭の「緑の~」の前の文章は、フェイトさんの感覚のつもりです。

 ここで私が言葉を重ねても埒もない話。
 そろそろ失礼させて頂きます。
 最後に。
 拙き物語にお付き合いくださった皆様が、幸せでありますよう……
コメント
この記事へのコメント
楽しませていただきました
いつもこっそり読ませていただいてます。
今回は予想していた展開を嬉しい形で裏切ってもらえたので、コメント入れさせていただきました。

作品の完成度の高さを求め、悲劇を悲劇のまま描く事も大事かと自分も思いますが、幸せを求めるものに、幸せな展開を与えられるというのも、書いてる人間にしか与えられない術です。

個人的な感想ではありますが、自分はこの結末を読んで、ふっと気持ちが軽くなった気がします。
誰かの幸福を描く、というのはえてして退屈で、安易なものになりがちですが、それでも自分は幸福であったり、救いのある結末が大好きです。

フェルゼさんの作品は、全体的な雰囲気が好きなので、これからも陰ながらに応援しております。

ではでは、長文失礼いたしました。
2011/06/02 (木) 20:09:18 | URL | P #mQop/nM.[ 編集]
Re: 楽しませていただきました
お初にお返事させていただきます、ということですね。

お三人に幸せになってもらいたいばかりに、作り手の我が儘を発動させていただきました。
デウス・エクス・マキナです。

私も、たとえ悲劇でも救いのある結末がいいです。
もっと言えば、悲劇のない幸福な結末がいいです。
でも、それだけだと、書けないこともあるんですよね……。
どうやって納得できる幕引きにしようかしらん、悩む日々です。

こんな辺境ですが、今のところやめる気もありませんので、気長にお付き合い下さると幸いです。

ではー
2011/06/06 (月) 00:16:09 | URL | フェルゼ #-[ 編集]
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