Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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DeNature 10
止まってゆくのです
嘗て、動いていたものたちが。

こんばんは
フェルゼです。

止まることが出来るのは、動いていたからなのですけれども、
寂しいものは、寂しいのです。

さて、今回更新もカテゴリリリカル。
後日譚のくせに、幕間です。
そして、場合によっては最後です。
次回更新でDeNatureを閉めますが、自分自身のために書いたモノになりますので。
じゃあ今回は? て聞かれると困るのですが――
そうですね、いつだって、自分自身の為ですかね。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。



 「ママ、お手紙来てた」
 「うん?」
 「読んでいい?」
 「誰からのお手紙?」
 「はやてさん」
 「なら、いいよ」
 はやてちゃんなら、仕事の時は別の連絡手段で来るから、これはプライベートの手紙だろう。
 「んー、とね。
  お知らせ、だって」
 「お知らせ?」
 「うん、はい」
 そう言ってヴィヴィオが差し出した手紙を読んで、私は目を閉じた。
 瞼の、裏。
 「ヴィヴィオ、覚えてる?
  一年前に、みんなと集まった所」
 「うん、覚えてる」
 「あそこでね、もう一回集まろうって」
 「みんな来るの?」
 「フェイトちゃんと、すごく親しかった人たちだけ、だけどね」
 「うん、行く」
 そっか、あれからもう一年経ったんだ。
 文面から、初めてその事に気がついた。
 そこにあったのは、フェイトちゃんから最後に届いたメールにあった、あの場所の事だった。
 保護された子たちからの話から、フェイトちゃんが気に入っていた場所が分かったこと。
 そこで小さな集まりを催すこと。
 一つの区切りとしたい――そういうことだろう。
 「……そうだ、ヴィヴィオ。
  その集まりから帰ってきたら、引越ししようか」
 「引っ越すの?」
 「うん、そう。
  引っ越して、新しい気持ちで、いろんなこと、始めるの」
 だってこの家は、フェイトちゃんとの記憶が多すぎるから。
 何をしていても、フェイトちゃんが過ぎる。
 過ぎるのに、その姿は時が経つごとにおぼろげになっていく。
 そのたびに、私は愕然としなくちゃいけない。
 私は何度、彼女を失えばいいんだろう、って。
 そんなんじゃいけないから。
 区切りを、付けるんだ。
 


 「なんでやろうな」
 向かう道すがら、はやてが口を開いた。
 「何で私らは、大事な人と離れんとあかんのやろうな」
 独り言のような口調ではあったが、彼女らがそれを放っておくはずはない。
 「大事だから、ではないでしょうか?」
 答えたのは、はやての隣にいたシグナム。
 ヴィータら三人は、まだ少し後ろを歩いていた。
 「大事やから?」
 シグナムを見上げ、はやてが繰り返した。
 「えぇ……大事な相手だから、大事にしたい関係だからこそその喪失を恐れる。そして、離別が生まれる。
  別れ自体は日々繰り返しているはずです。たとえばここに来る途中ですれ違った名も知らぬ誰か……再び会うこともあるかもしれませんが、もうないかもしれません。
  それも一つの別れですが、私たちはその一つ一つを惜しんではいられない……関係性の問題ではないかと、私は思います。
  すみません、うまく言葉にできなくて……」
 言葉を探すように告げて、小さく頭を下げたシグナムに、はやてが首を振った。
 「いや……うん、シグナムの言いたいことはきっとあたしに届いたよ」
 「ありがとうございます。……我らも、いつか訪れるかもしれないあなたとの別れを思うと辛くてなりません、我が、主」
 「なんや、嬉しいこと言ってくれるやないか」
 つ……とはやてが天を仰ぐ。
 口元は親しい友人をからかっている時のように。
 けれども、溢れたそれは一滴頬を濡らして落ちて行った。
 「あー! 何はやて泣かせてんだよ!」
 何やら違う空気を感じたのか、はたまたはやてのそばに来たかっただけなのか。
 近くまで来ていたヴィータが、はやての様子にシグナムを詰問する態勢に入った。
 「何話してんだよ、シグナム」
 「ん? いや、我が主について……かな」
 「は? はやてがなんだってんだ?」
 「我らと主との関係、と言えばいいか?」
 「んなん大事に決まってるじゃねーか」
 「いかがですか?」
 小さく笑みを浮かべてはやてに尋ねたシグナム。
 「ふふっ……せや、な」
 はやてが、笑顔でそれに返して。
 事情のわからないヴィータが一人、不審げな顔をしていた。
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