Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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DeNature 2
血の縁のある者が、逝きました。
そこにそれ以上の意味はないのかもしれませんが、それ以下では、断じてありません。

それでも私は
フェルゼです。

思うところがないと言えば嘘になりますが、渦巻いている思いを言葉にできないでいます。
きっとまだ、私の中で消化できていないのでしょうね。

さて、今回更新いたしますのもカテゴリリリカル。
前回と同系統の物語になります。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。



 なのはの元には、様々な連絡が届く。
 親しかった元同僚が結婚をしたとか。
 元教え子がどこそこの部隊に配置されたとか。
 結婚した同僚に子供ができたとか。
 元教え子が昇進したとか。
 親しかった同僚が墜ちたとか。
 出撃した元教え子が戻らなかったとか。

 覚悟は、していた。
 なのはの同僚は、戦闘部隊の隊員で。
 なのはの教えているのは戦い方で。
 そして、飛び立った幾許かは、戻れないことを。
 だからなのはは徹底的に教え込んだ。
 生き残る術を。
 敵を倒す術ではない。
 自分を、そして自分の大切なものを守り、そして帰るその方法を。
 可能な限り、時には心を鬼にして叩きこんだ。
 だから、なのはの教え子たちは管理局でも生還率の高い隊員として有名だった。
 それでも。
 戦場にいる限り、絶対に生きて帰ることのできる方法なんてない。
 戦場に絶対など存在しないことは、なのは自身嫌というほど分かっていた。
 できうる限りを伝えても。
 それでも。
 一人、二人と消えていく。
 足りなかったのかもしれない。
 自分の教えたことが、足りなかったのかもしれない。
 もっと完全に、しっかり教えていれば。
 そう悔やんだことは、もう、数えきれない。
 悔やんで、悔やんで、悔やみ疲れた頃。

 フェイトの個人フォルダには、大きな画像フォルダがある。
 なのはたちと共有することのないそのフォルダについて、なのはは聞いてみたことがある。
 ―――そのフォルダにある画像は、誰なの?と。
 訊かれて、フェイトは黙って画面を操作しそのフォルダを呼びだした。
 以前より若干増えているその容量。
 映し出される人々は、年齢も性別も出身もばらばらであり、管理局の職員でないと思われる人も多かった。
 ―――この人たちはね。
 フェイトが呟いた。
 次々と画像が切り替わり、様々な人々の表情が画面を流れていく。
 ―――守れなかった、人たち。
 救えなかった命の、持ち主たち。
 その中で個人が特定できた人々の画像を、生前の画像を一枚だけ、フェイトは保存していた。
 ―――忘れないようにね。
 無言のなのはに、フェイトが告げた。
 記憶するには多すぎるその量を、せめてデータとして残しておこうと。
 フェイトはある時から、はじめた。
 ―――この中にはね、天涯孤独な人もいるんだ。
 家族がいた人は、友人がいた人は、その人が覚えていてくれるだろう。
 でも、そんな人がいなかったら?
 ―――命は、守れなかった。でも、死んでほしくない。
 矛盾、してるかな?そう言ってフェイトは苦笑した。
 ―――私ね、思うんだ。
 フェイトは続ける。
 ―――もしかしたら、死んでしまった人は生きている人の中でだけ、生きていくことができるんじゃないのかな……って。
 悪あがきみたいな、ものかもね。
 なのはが、首を振った。
 ―――だから、せめて、忘れないでいたいなって。この人たちが生きていたこと、私は覚えていたい。もう、死んでほしくないんだ……。
 囁くように言って、フェイトは小さく微笑んだ。
 雫が一筋落ちて、耐えられずに。
 なのははフェイトを抱きしめた。

 救えなかった命を抱き締め続けることを教えたのは、フェイトだった。
 
 共に戦った仲間たち。
 指導を重ねた教え子たち。
 失ってしまったそれらに対する思いは、なのはも同じで。
 どこにも向けられない、やりきれなさ。
 フェイトが示したのは、その一つの出口。
 なのはのフォルダに隊員たちのフォルダができたのは、それからすぐのことだった。
 それはなのはの願い。
 その一つの形だった。


 もう、失いたくないから。 
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