Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
いままでと、これから
誘いの月
臆病の恋

こんばんは
フェルゼです。

どうも、先の見えないものが苦手です。
先が見えていれば、そこを取っ掛かりに出来るのに、
見えないから、掴む物のない斜面を登ろうとしているようで。

でも、楽しむのも先の見えない物だったりするんですよね。
あてのない小旅行なんて、素敵だと思いませんか?

さて、今回更新はルカさんとミクさんの物語。
順調に増えています。
好きですネギトロ!
登場されるのは、ルカさんとミクさん。
たぶん、今まで載せさせていただいたものと、同じ時間軸の物語。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 「ねぇ、ルカ……」
 「なに?」
 勇気を振り絞って出した言葉は、ふらふらと定まらなくて。
 私は唇をかんだ。
 ルカは、雑誌から目を離さない。
 「私達って、さ」
 「えぇ」
 「その」
 「なに」
 「えと」
 「なによ」
 「あの、」
 「だから何? って聞いてるでしょ」
 ルカの鋭い声に、ビクッと体が震えた。
 ――らしくない。
 情けない。
 「私達って、付き合ってた……っけ」
 振り絞った言葉に、ルカが雑誌から顔をあげた。
 じっと、こっちを見つめてくるルカの、いつもと同じ視線。
 あぁ、こりゃ、ダメだ。
 そんな言葉がよぎった。
 「何言ってるの」
 だってその声も、その調子も、いつもと同じで。
 甘い期待はどこにもない。
 「そんなわけないでしょ」
 視線はまた、雑誌へと戻った。
 ほら、ね。
 「……だよねー」
 茶化すように笑って、私は顔をそむけた。
 だってこんなの、耐えられないし。
 「いやなんかほら、リンがね、私とルカが付き合ってると勘違いしたらしくてね。
  そんなことないって言ったんだけど」
 口をついて出たのは、言い訳にもならない理由ばかり。
 違う、理由にもならない言い訳、だ。
 リンがそう言ったのは本当。
 私がそんなことないって言ったのはウソ。
 『え? そう見える?』とにやけた私に、リンは『ルカさんに聞いちゃえば? 長いこと一緒にいるんだし、そう思ってくれてるのかもよ』なんて言ったから。
 後悔した。
 あぁ、後悔した!
 希望なんてないってわかってたのに、勝手な希望だけで走りだして転んだ私に、何よりがっかりだ。
 明日はルカ、お休みだって言ってたし、泊まっていこうって思ってたけど。
 無理だ―。
 
 「……帰る」
 「珍しいのね、泊まってくって言い出すかと思ったわ」
 「ん……ちょっと」
 「そう」
 あ、なんかやばい。
 末期な気がする。
  

 お泊まりする予定だったカバンは、ずしりと重い。
 その重さに負けて、猫背になって。
 負けるもんかと意地になって、私は玄関を目指した。
 ルカは追いかけてなんかこない。
 でも。
 「始まってもいないのに終わらせるつもりなの?
  あなたは」
 ルカの声が、追いかけてきた。
 「え? だって」
 その言葉に足を止めて振り向いてしまうほどには、私はルカにやられてる。
 「私はあなたの事、嫌いじゃないわよ」
 「え……」
 「あなたとこうしている時間、悪くないって思ってる」
 ルカの目は、正面から私を見つめていた。
 そらせない。
 逃げられない。
 「私はあなたと付き合ってもいいって思ってるわ」
 あっさりと、ルカはそう言った。
 「え、え?」
 なにを言っているのか、わからない。
 いや、言っていることは分かるのだけれど、何でそれがスラスラ出てくるのか分からない。
 「どうするの、ミク」
 「あ、えと、その……」
 「その?」
 「よろしく、お願いします?」
 「何で疑問形なのよ」
 語尾の上がった私に、ルカが苦笑して返した。
 「はい、お願いされます。
  で」
 ルカが小さくため息をついたのが聞こえた。
 「泊まっていくの?
  いかないの?」
 「えと……ルカ、泊まっていっても、いい?」
 私がそういうと、ルカは、なにをいまさらって言って、少し笑った。 
 
 
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