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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
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それを私が、否定するわけないじゃない
年末年始と、噂に翻弄されておりました。
誰だよ、アイツが結婚したなんて言ったのは。

こんばんは
フェルゼです。

あけましておめでとうございます。
本年が皆様にとって良い年になりますように。
よろしければ、当ブログの相手もしてやってくださいね。

さて、年明け一発目ですが、特に年始物も考えておりませんでしたので通常更新短編。
カテゴリは「ひだまり」
登場されるのは、沙英さんとヒロさんです。
冒頭にちょいと智花さんもおられますが、上記お二人のパートがメインですので。
んー、久しぶりにひだまりで書いてみましたが、原作の方が甘いんだぜ?
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 『お姉ちゃんってさ、もしかして、一人じゃ何にもできないんじゃない?』

 そんな言葉に、ついムキになった私が、ばかだったんだ。





 『へぇー、今度修学旅行行くんだ』
 「そうだよ」
 家から電話がかかってきて、お母さんかと思って出たら、智花だった。           
 昔だったらそのまま切っていたかもしれないけど、今は一応、改善の兆しがある。
 努力は、してるつもり。
 『どこいくの?』
 「北海道」
 相手の近況を聞いたりなんかしているうちに、話は今度私が行く修学旅行のことになっていた。
 『だれと?』
 「誰って、クラスの子にきまってるじゃん」
 『それくらい分かってる!
  そうじゃなくて、班決めとかして、別れるんでしょ?』
 「そりゃ、まぁね」
 『だから、それが誰かって聞いてるの』
 「言ってもわかんないでしょ?」
 『分かるかもしれないじゃん。
  教えてよー、減るもんじゃなし』
 「何それ。
  ……まぁ、いいけど」
 班は五人で、まだ決まっていないとはいえ、なんとなく、どうするかって言う話は出ていて。
 仮だけど、クラスの中で既に班はできつつあった。
 『何人の班なの?』
 「五人だよ」
 一人、二人、三人。
 名前を挙げていって。
 「それと」
 『それと、ヒロさん?』
 私の言葉にかぶせるようにして、智花がそう言った。
 「そうだけど」
 『またー?』
 「またって何よ」
 心持ムッとした声になってしまったのは多分、気のせいじゃない。
 『だってさー、いつも一緒じゃない? お姉ちゃんたちって』
 「そりゃ、クラス同じだし、住んでる所もおんなじなんだから、仕方がないでしょ」
 『そういうことじゃなくて』
 「そういうことじゃないなら、なんだっての」
 『別に一緒にいる必要ないときだって、一緒じゃん。
  今回みたいに』
 「今回って、そんな、別に……」
 『別に、何?
  あぁ、お姉ちゃんが決めたんじゃなくて、周りの人がそういうグループにしたとか?』
 「まぁ、それもあるけど」
 『えー、なんかヒロさん、かわいそう』
 「なんでっ!」
 『なんかはっきりしない理由で、はっきりしない人とおんなじ班にされて。
  ヒロさんだってさー、別の人と一緒にいたかったりするんじゃない?』
 「ヒロだって、この枠で何も文句言ってなかったし!」
 『あー、ヒロさん優しいからねー。
  またお姉ちゃん、ヒロさんの優しさに甘えちゃってるんだ』
 「何よ、その言いぐさ」
 『お姉ちゃんってさ、もしかして、一人じゃ何にもできないんじゃない?』
 「なっ!」
 『そんなことないって言うならさー、せめて今回の班分けくらい、ヒロさん離れ、してみたら?』
 「い、いいよ!
  やってやろーじゃないの」

 あぁ、やってしまったと、電話を切る前から後悔していた。




 「あ、沙英ー!」
 なんとなく沙英が私を避けているような気がしたその日。
 けれども、きっと気のせいよね、と自分に言い聞かせて、私は沙英の背中に声をかけた。
 「あ……ヒロ」
 「ねぇ、沙英。
  班分け、どうする?」
 「どうするって……私の班?」
 「うん、そうだけど」
 なんとなく沙英の言い方に違和感を覚えて、私も言いよどんだ。
 班員は五人。
 メンバーはこの間なんとなく決めたから、分かっているようなものだけど、最終決定はしていない。
 別の班とトレード、なんてこともあるし、そういう話は沙英のところに行きがちだから、どうなったのか気になった。
 「えっと、ね」 
 一人、二人、三人。
 沙英が名前を挙げていく。
 なんだか、この間とはメンバーが違う。
 班同士の交流もあるけれど、やっぱり班内での時間が圧倒的に長いから、色々と調整があったのかもしれない。
 そんなことを考えていたら、三人の名を挙げたところで止まっていた沙英の口が、もう一つ、動いた。
 ――四人。
 ……え?
 「あれ?
  班分け、五人よね?」
 「うん……」
 「えと、沙英の班だけ六人だったっけ?」
 「うぅん」
 弱々しく否定して、沙英は私から顔を逸らせた。
 ような、きがする。
 だって、何だかもう、見ていられなかったから。
 「沙英」
 「うん……」
 「私と沙英、同じ班……」
 「じゃ、ないよ」
 
 なんで?
 どうして?
 そんな疑問ばかりが浮かんで。
 解答も解決策も、何も浮かばない。
 「私と一緒、いやだった?」
 「そんなんじゃ、ないよ」
 「いつも一緒にいるの、本当はいやだった?」
 「そんなことない」
 「なんかめんどくさい女だなって思った?」
 「違うよ」
 「私のこと、嫌いになった?」
 「違う!」
 「じゃあ、どうして?」
 思わず詰め寄った私と、顔を背けたままの沙英。
 「ヒロが、私と一緒ばっかで、いやかなって。
  私がヒロと居るとさ、ヒロ私の相手してくれてるから、他の子と話す機会減っちゃうし。
  だから、たまには離れたほうがいいのかなって、思った」
 「そ、そう、なんだ」
 「うん」
 気まずそうにしながら、沙英が背中を向ける。
 だから私はきっと、こう言うしかない。
 「沙英がそう決めたなら、いいわ」
 でも
 「でも、私は、いやだなんて少しも思ってない。
  それだけ覚えておいて」
 「うん」
 私がそう言うと、沙英は頷いた。
 そうして、気遣わしげな視線を私に向けて、沙英は踵を返した。
 一歩一歩、沙英が足を進める。
 沙英が歩き去っていく。
 沙英が遠くなる。
 本当は、何かもっと、別の理由があったのかもしれない。
 メンバーの調整とか、色々。
 ……色々、あったとしても、私はそれが沙英と別々になる理由とは、思えなかった。
 沙英は、隠せない。
 だから、沙英が言っていたことは、大きな理由のはず。
 『ヒロが』沙英はそう言っていたけれど、それはほんとうは、沙英の気持ちじゃないの?
 私はだって、そんなこと一度も思ったことがないし、そんな様子もあったはずがないもの。
 
 だから、沙英が私から離れたくて?
 
 「――いや」
 呟いた声は、沙英には届かない。
 止まらない。
 「やっぱりいやよ!
  沙英と別々なんて、私はいや!」
 「ひ、ヒロ?」
 その背中に叩きつけるように言うと、やっと沙英が振り向いた。
 「行くなら、沙英と一緒がいい!
  一緒に行こうって、言ってたじゃない!
  どうしてそんな簡単に、別々にしたの?
  本当は、沙英が私と一緒がいやだって思ったんじゃないの!?」
 「ヒロ、落ち着いて……」 
 「沙英こそ、落ち着いてちゃんと考えてよ!
  なんでこんなことになったの!?
  沙英のせいじゃない!」
 なんかもう、むちゃくちゃ。
 私にも分かっていたけど、でも、止められなくて。
 伝えたい言葉はもっとたくさんあるはずなのに、出てこなくて。
 「わかった。
  ちゃんと考えるよ。
  ちゃんと考えるから、泣かないで、ヒロ。
  考えて、明日、ヒロに伝えるから」
 慌てて駆け寄ってきた沙英にそう言われるまで、自分が泣いていることにすら気づいていなかった私は、明日と言う約束に縋って、少しだけ、落ち着くことができた。




 「ヒロ、あとでちょっと屋上、いい?」
 一晩経った次の日の朝、沙英はそう、私に耳打ちをした。
 本当は入ったらいけない場所。
 だから、そこには誰もいなくて。
 休み時間に視線のあった沙英の後をついていくと、付いてきている私の姿を確認した後、さっと周囲を見てから、沙英は階段を上がっていった。
 迷いのない足取りから、決めたんだって分かる。
 沙英がどうするか決めた。
 私はそれを、聞かなくちゃいけない。
 屋上のドアを閉めると、沙英はドアの横の壁に背中を預けて空を見上げた。

 「私たちってさ、もうすぐ卒業じゃん?」
 独り言のように、けれども話しかけている沙英の言葉に、私は耳を傾ける。
 「ずっとやまぶきにいられるわけじゃない。
  ずっとひだまり荘に、いられるわけじゃない。
  先輩達と同じように、私たちももうすぐここを出て行かなくちゃいけない。
  だから……あー、その、さ。
  智花に言われたんだ。
  ヒロから離れたら、何もできないんじゃないかって。
  ヒロ離れしたら? って。
  私、またムキになっちゃってさ」
 「やるって、言っちゃったんだ」
 「うん」
 「それで、この結果」
 「情けないよね、ホントにさ」
 「沙英……」
 「大事なのは、離れちゃったときの準備じゃないのに、ね」
 そう言うと沙英は、薄く笑った。
 「いつかは多分、離れなきゃいけない時がくる。
  だから、それまでの時間を大切にすること、それが大事なはずなのに」
 申し訳なさそうに眉を下げて、沙英は微笑みかけてくれた。
 顔を紅くすることも、声に戸惑いを乗せることもなく。
 ただ、真っ直ぐに、穏やかに。
 「ごめん、ヒロ。
  一緒に行こう?
  ――私と、一緒にいてくれない?」 

 だったら、私の返事はもう、一個しかないわよね?
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