Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 51
どうやら、
消費者月間に突入していたらしいですね。

こんばんは
フェルゼです。

環境の変化の所為か、
座ってる姿勢の所為か。
そろそろ書くペースを戻さねば、次が……。

さて、今回更新もM. T.
ろくでなし
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。




 「複数個が一ヶ所にあるなんて」
 部屋の戸に手を掛けて、フェイトが呻った。
 「どうするの?
  フェイトちゃん」
 「……なのは、なのはは体調とか、悪くない?」
 「え? うん」
 急に振り向いたフェイトに、なのはが戸惑いをみせつつ答える。
 「そう……じゃあ、まだ少しは時間があるのかな」
 言うと、フェイトは口元に手を当てて、ゆっくりと、結論を出すように頷いた。 
 「念のため、ハラオウンに警告を出してくるよ」
 「警告?」
 「ジュエルシードをもう一つ封印したら、最後の一個がどこかで暴走する危険性がある。
  かと言って、今目の前にあるものを放置しておくわけにもいかない。
  だから、ハラオウンにそれを伝えてくるよ。
  ハラオウンに届けば、情報はすぐに広がるから」
 「でも、どうやって?」
 「ハラオウンはどこにでもいる。
  この場所にジュエルシードがあるって言ってきたくらいだから、この家の周りなら絶対だ。
  誰がどこにいるかは分からないけれども、あの黒い封筒に入れるとすぐに回収されるようになってるんだ」
 じゃあ、一旦降りようか。そう言うフェイトについて、なのはも階下に降りた。

 つらつらと先ほど口にした数行を書いただけの紙を黒い封筒に入れて、それを柵の上に置いただけで、フェイトは戻ってきた。
 「あれでいいの?」
 「どうせ私達が入って行ったのを監視しているだろうからね。
  きっと、もう回収されているよ。
  直に情報も伝わる」
 出来れば少し待っていたいんだけど。フェイトがそう口にした時、波が、襲ってきた。
 と言っても、水のではない。
 空気の波……いや、空間の波とでもいうのだろうか。
 通常の空間と、圧縮されたような空間とが数回、交互に訪れてきた。
 なのはが、片手をこめかみに添える。
 「もう、待っていられない、か。
  急ぐよ、なのは!」
 苦虫を噛み潰したような顔で言うと、フェイトは床を蹴った。
 階段を飛ぶように上がり、先ほどの部屋の前に立つ。
 「この部屋は……?」
 「アリシアの、姉さんの部屋だよ」
 そう言うとフェイトは、息を切らせたなのはを振り返ることなく扉を開けた。
 「つ……」
 違和感が強くなる。
 空気が捻じれるようなそれに、なのはの頭が微かな痛みを訴えた。
 フェイトも、何かを耐えるように目を細めた。
 「これじゃあ、分からないな……」
 ぐるりと部屋を見渡してから、フェイトは手近にあったクローゼットに向かった。
 その背中を数秒間見つめてから、なのはは反対側にあった本棚に足を向けた。
 ガタガタとフェイトが引き出しを開ける音と、カタカタとなのはが本を動かす音だけがする。
 しばらくして、なのはが。
 「フェイトちゃん……これ、なんだけど」
 フェイトを、呼んだ。
 なのはの指した先、フェイトが見たそれは、さほど大きくもないぬいぐるみだった。
 クマのぬいぐるみが抱える青い球。
 フェイトに見覚えのないそれは、意識を集中させれば違和感の中心であることが分かった。
 「うん。
  これ、だね。
  ありがとう、なのは」
 「うぅん、私はこれくらいしかできないから」
 フェイトが下げた左手に押されるように、なのはが一歩、斜めに下がった。
 そうして二人、ジュエルシードと対峙する。
 ジュエルシードと適当な距離をとって、フェイトがバルディッシュを構えた。
 それを確認して、なのはが障壁を張る。
 二人のスタイル。
 フェイトが小さく深呼吸した。
 今これを封印すれば、どこかでレリックが生まれるかもしれない。
 けれども、発動しかけているジュエルシードを前に、待っていることなどできはしない。
 覚悟を決めなくてはならない。
 誰のためなのか分からない覚悟。
 もしくは、フェイト自身のための覚悟。
 ぐにゃりと、ぶつかり来る波になのはの障壁が歪んだ。
 いつも通りだ。
 こっちの都合も何もあったものじゃない。
 短い嘆息とともに吐き出した空気を、集中力と共に体に取り込む。
 「行くよ、バルディッシュ」
 ―― sealing ――
 刃を叩きつけると、パチンと風船が弾けるような音を立てて、球形が弾けた。
 内部に浮いていた宝石が露出する。
 バルディッシュの刃は、外装を弾き飛ばしたことなど意に止めないほどの速度で宝石に向かった。
 だから、刹那。
 宝石が姿を見せてから黄金の刃に貫かれるまでの、瞬きにも満たない間だけだった。
 ジュエルシードが揺れたように見えた。
 体を震わせて笑うかのように。
 ジュエルシードが、揺れたように見えた。
  
 深々と刃に貫かれたジュエルシードは、砕けることなくその形を保っていた。
 けれども、もうそれは効力を失いつつあった。
 色が濁っていく。
 透き通った宝石が、灰色の欠片に変わっていく。
 打ち込まれたフェイトの魔力に、ジュエルシードの魔力がかき消されていく。
 やがて、風化する岩石のように、それは、バルディッシュの刃から朽ち落ちた。
 「……はぁ」
 緊張感と一緒に、フェイトは吐息を吐き出した。
 瞬間。
 ゴトリと、鳴った。
 フェイトが目を向けたその先、音の発生源は。
 アリシアの、宝石箱。
 「まさか!?」
 叫ぶと同時に、光が。
 フェイトを襲った。
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