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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
過ぎ去りし日々のために
帰り道、水樹さんによく似た方を見かけたフェルゼです。
よく似た方ですよね?
本人じゃないですよね?
まさか…ね。(誰に確認とってる?)

さて、今回の更新ですが。
以前「モーソー秘密基地」さまにて開催されておりました企画に投稿させて頂いたものの修正版となります。
この修正が凶と出るか裏目に出るか…あれ?

なお、組み合わせとしましては「なのはさんxフェイトさん←ヴィヴィオさん」…という感じです。
お付き合い下さるという方は、以下からどうぞ。
 
 その日も、いつも通りに始まった。



 過ぎ去りし日々のために -for our once Usual-



 フェイトちゃんが早出で、私が少し遅いその日は、いつものように。
 朝食後、ヴィヴィオと一緒にフェイトちゃんを見送って。
 それから私は仕事に、ヴィヴィオは学校に行くはずだった。



 「それじゃあ、行ってくるね。なのは、ヴィヴィオ」
 「うん、行ってらっしゃい。フェイトちゃん」
 チュ…と、その頬に軽く口づける。
 二人きりだった頃は頬ではなかったけれど。
 じっと見つめているヴィヴィオの視線に気がついてから、何となく私たちはその場所を頬に移していた。
 「…」
 「ヴィヴィオ?」
 そんな私とフェイトちゃんの様子を、黙って見つめるヴィヴィオ。
 いや…厳密に言えば、その視線の先にいるのはフェイトちゃんだ。
 「ヴィヴィオ、フェイトママに行ってらっしゃいは?」
 ヴィヴィオが見ているときのフェイトちゃんは、なんだか嬉しそうで。
 フェイトちゃんを見ているヴィヴィオはどこか。
 どこか、私を見るときとは、違う。
 それはきっと。
 「行ってらっしゃい。フェイトパパ」
 「ありがと、ヴィヴィオ」
 私たちの立ち位置の違いだと、そう思う。
 最初から「ママ」としてあった私に対して、いつからか。
 ヴィヴィオはフェイトちゃんを「パパ」と呼び始めた。
 フェイトちゃんもそう呼ばれる事はいやではないらしく、始めの頃こそ苦笑を浮かべてはいたが今では当たり前のように受け入れている。
 それでも、私はヴィヴィオに対して「フェイトママ」と呼び続けていた。
 私とフェイトちゃんを同じ位置に置こうとしての事か、なんなのか。
 理由などとうに忘れてしまったけれども。
 強いて言えば…「違和感」とでも言うべきだろうか。
 その「違和感」が気に入らなくて。
 私は。

 「それじゃあね」
 そう言って、踵を返そうとしたフェイトちゃんの動きが止まる。
 「どうしたの?ヴィヴィオ」
 振り向いたフェイトちゃんの視線の先。
 制服の裾を、そっと掴んだヴィヴィオがいた。
 「ヴィヴィオ?」
 そのまま視線を落としたヴィヴィオに、再びフェイトちゃんが声をかける。
 その声に顔を上げて。
 まっすぐに、フェイトちゃんを見て。
 それから、ヴィヴィオは私を見つめた。
 「どうしたの?」
 問い返した私に、ヴィヴィオの視線が強まったような、そんな気が、した。
 「あのね…フェイトパパ…」
 囁くように、言って。
 続きが、聞こえない。
 「え?ごめん、もう一回言ってくれないかな」
 フェイトちゃんもそうだったらしく、腰を屈めてヴィヴィオの視線の高さに合わせる。
 それを見て。
 ヴィヴィオはもう一度私を見て。
 私に、背を、向けた。

 ―――――!

 聞こえたのは。
 驚いたようなフェイトちゃんの息をのむ音。
 チュ…という、少し湿った響き。
 見えたのは。
 フェイトちゃんの頬を包み込んだヴィヴィオの両手。
 少しだけ離れている距離を埋めるかのように上げられた、ヴィヴィオの踵。
 そして―――
 ヴィヴィオが離れた後の、口を押さえたフェイトちゃんの姿。

 私も無言。
 フェイトちゃんも無言。
 そして。
 ヴィヴィオが。
 私の横をすり抜けて走って行った。



 「あ、あはは…ヴィヴィオはおませさんだね…」
 「そう、だね」
 「あの…なのは」
 「うん」
 「その…行ってきます」
 「うん、いってらっしゃい。
  フェイトちゃん」


 
 フェイトちゃんを見送って、ゆっくりと振り向く。
 心が急激に冷めていく。
 「ヴィヴィオ…」
 声が震えるのを抑えられない。
 返答は沈黙。
 「ヴィヴィオ…!」
 荒ぶる言葉を、抑えきれない。
 ヴィヴィオは私とフェイトちゃんの子供のようなもので、大切にしたいから。

 だから、許せないことがある。

 カッカッカと、わざと足音を立てて歩み寄る。
 目的地は私たちのベッド。
 折りたたまれていたはずの掛け布団が引き延ばされ、少しだけ、盛り上がっていた。
 バッ…と、無言で布団を剥ぎ取る。
 「…」
 「……」
 視線がぶつかる。
 体を丸めて横たわるヴィヴィオは、少しのたじろぎも見せずに私を見返していた。

 「そこをどきなさい、ヴィヴィオ」
 無言の反目。
 「そこはヴィヴィオの場所じゃない。どきなさい」
 動く気配はない。
 「そこはフェイトちゃんの場所だから。どきなさい」
 “フェイトちゃんの”その言葉に反応したかのように、ヴィヴィオはゆっくりと体を伸ばして。
 そして、うつ伏せになった。
 最後までこちらに向けていた視線を徐々に外して。
 顔を、埋める。
 「ヴィヴィオ!」
 何かが切れた。
 彼女の場所に顔を埋めていたヴィヴィオを引き剥がす。
 「離して!」
 腕の中で暴れるヴィヴィオに構わず、引きずりおろすようにベッドから遠ざけて。
 「離してよ!」
 二人一緒に、床に倒れこんだ。

 「どうしてあんなことしたの」
 どんなことかは言わない。
 口に、出したくない。
 「キス、したこと?」
 それなのに、平然と言うから。
 「それだけじゃないでしょ!」
 感情が、抑えられない。
 「なのはママだってするじゃない!もっといっぱい、してるじゃない!」
 「私はフェイトちゃんが好きだから…!」
 「だったらどうして私がしたらダメなの!?」
 「え…?」

 数秒、思考が止まった。
 ヴィヴィオの言葉が理解できない。
 “あの行為”にそれを薄々感じたからこそ感情が波立ったのに。
 いざ目の前に出されると、それは予想の範疇外の勢いを持っていた。
 私の沈黙を利用して、ヴィヴィオが冷静さを取り戻していく。
 いつもの、おとなしいヴィヴィオ。
 けれど、女の貌をした彼女。
 「私はフェイトパパとキスをした。ううん、私がフェイトパパにキスをしたのかな。
  でも、それはそんなにいけないこと?」
 ぺろり、と唇を舐める。
 「だめだよ…フェイトちゃんは私の…」
 「早い者勝ちなの?それなら、私の方が早くフェイトパパと会っていたら、なのはママはあきらめたの?」
 フェイトちゃんを諦める?
 そんな選択肢は。
 「そんなわけ、ない」
 言いきった私に、ヴィヴィオはどこか満足げな表情をした。
 たぶん、それは私も。
 「私だって同じ。私はフェイトパパを追い続けるの。私に振り向いてくれるまで」
 「だったら私はフェイトちゃんを釘付けにし続ける。他の誰にも目が向かないように」
 私たちは、理解したから。



 幼いころの私の面影を持つという彼女。
 内面もそうだと言うなら、私には分かる。
 彼女は決して、あきらめない。
 ずっとフェイトちゃんを見続ける。
 だから。
 私たちは親子で。
 もしかしたら同じ感情を持つ友人で。
 そして、間違いなくライバルになった。

 とりあえず今夜。
 フェイトちゃんが帰ってきたときは、彼女より早くフェイトちゃんの元に走り。
 遠慮のない、キスをしよう。
 



 -Unsung Song- 2 fine
 



 後書き
 悪ノリ、と言われてしまえばそれまで。
 何の反論もできません。
 前作とはまた違った意味で脱線気味です。
 前回の拍手返事といい、どうも、どこか壊れ気味な気がしますね。
 …
 壊れ気味ですね。
 (色々思い当るところがあった)

 星藍さんのサイトでご覧になられた方がみえましたら、少し違うな…と思われるかもしれません。
 以前投稿させて頂いたものを、星藍さんに許可をいただき再掲載することにしたのですが…。
 どうもガタガタしていたため、いっそ書き換えてしまえ…と、こうなりました。
 どうにもこうにも…どうしましょう?
コメント
この記事へのコメント
”吉”です。
 修正前の作品も拝見しましたが、今回修正した事によりヴィヴィオの”女”の部分がより際立ちましたね。そんなヴィヴィオにフェイトさんが食べられてしまわないか少し心配です。
 なのはさん、頑張れ!(笑)
2008/01/23 (水) 23:50:02 | URL | なのはな #-[ 編集]
いくぞー(何を
 なのはなさま、コメントありがとうございます。
 投稿分もご覧いただけましたか…うぁー…ちょっと、恥ずかしいです///
 あの二人の様子を毎日見続けたら、多少なりとも早熟になる気もするのですよwそんなわけで、「女ヴィヴィオさん」降臨のお話でした。
 なのはさん、がんばれーw
2008/01/26 (土) 23:47:15 | URL | フェルゼ #-[ 編集]
発見!
巡り巡って発見!
どうも、ブルークォーツです。
強力なライバルの出現になのはさんは今後どう立ち向かうのかw
そしてきっと二人の間でフェイトさんは困った顔をするのでしょうねw
2008/01/31 (木) 18:01:08 | URL | ブルークォーツ #ncVW9ZjY[ 編集]
被発見!
おぉ、ブルークォーツさん!
お久しぶりです。
お元気でしたか?
ようこそこのような辺鄙なところへw
今後のなのはさんのご活躍については、方向性が変わった後続きますので…。
フェイトさんはどうするのか!?
と言うか、気付くのか!?
そんな感じで後数話、よろしければお付き合い下さいねw
2008/02/02 (土) 22:14:23 | URL | フェルゼ #-[ 編集]
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