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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 46
――その前に、
やるべき事が、ある。

こんばんは
フェルゼです。

でも、そのやるべき事と同じくらいやるべき事が、他にもたくさんあるんですよねー。
困ったもんです。

さて、今回更新はM. T.
一週間に二回更新なんて久しいですね。
色々と足りないんですよ。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。


 裏門近くの柵の崩れた箇所に足をかけて、フェイトが庭内に下りる。
 続いて降りたなのはを受け止めたのは、深く茂った草本だった。
 物によっては腰以上の高さのあるそれを掻き分け、フェイトの姿を追う。
 「フェイト、ちゃん」
 呼びかけるも、フェイトと、そしてなのは自身の草を分ける音に掻き消されたのか、フェイトの歩みが止まることはない。
 「フェイ……」
 必死で追うなのは。
 けれども、フェイトの姿は背の高い葉の陰に隠れて捕えにくい。
 遠くなっていく、気がしていた。
 なのはの足が止まった。
 「フェイトちゃん!」
 フェイトが振り向く。
 自らの背後、数メートルもないところで、なのはが立ち尽くしていた。
 肩で大きく息をしながら。
 「あ……」
 気がついていなかった。
 彼女が、どこにいるのか。
 「ごめん、なのは」
 追いついたなのはにそう告げて、視線を逸らした。
 「うぅん、大丈夫」
 荒い息の下で、なのはが笑みを見せる。
 「ごめん」
 「ねぇ、フェイトちゃん。
  この庭、すごいね」
 フェイトに並んで、歩き出しながらなのはが口を開いた。
 「え?」
 「草はいっぱい生えてるけど、木はちゃんと固まってしか生えてないよ。
  低い木とか、そこらじゅうに生えててもおかしくないのに、すごいね」
 「あ、あぁ。
  土が、調整してあるって、聞いたことがある。
  そのためじゃないかな」
 「土かぁ。
  すごいね、私そういうの初めて聞いたよ」
 「そう?」
 「うん」
 草を掻き分ける音がする。
 「あ、じゃあもしかして、今歩いてるところって、花壇だったりするのかな」
 「いや、ここは確か芝生だったはずだよ。
  花壇は、もう少し離れたところだったと思う」
 「そっか」
 「うん」
 がさりがさり。
 屋敷が近くなる。
 「ジュエルシードって、あといくつくらいなの?」
 「あと3つ……いや、2つかな」
 「はっきりしてないの?」
 「いや、はっきりとはしてるんだ。
  ハラオウンからの手紙に、いくつまで封印されたかも書いてあった」
 「じゃあ、なんで?」
 「封印しなくちゃいけないのはあと3つなんだけど、最後の1個はジュエルシードじゃないかもしれないんだ」
 「どういうこと?」
 「定かな情報ではないんだけれどね。
  最後の1個になったジュエルシードはより強い魔力を持つ宝石……レリックに変化するという話があるんだ。
  このレリックが百年以上の時をかけて魔力をため、再びジュエルシードを生み出す、と。
  だから、もしかしたらここともう1つジュエルシードを封じたら、レリックがどこかで出現するかもしれない」
 「レリックの話だけは、よくわかってないの?」
 「このレリックには、魔力資質のある者の体に潜り込む特性があるらしいんだ……。
  レリックが見つかったとして、封じようと魔力資質のある者が近寄ればレリックに寄生される。
  体内に潜り込んで数分はおとなしくしているらしいけれども、その後宿主の体を物理的に破壊しながら神経系を乗っ取る、らしい。
  元々ジュエルシードに関する数少ない書物は、魔法使いが自ら封印の過程で記していたんだけれどね。
  どれも最後まで封印しきれていないんだ。
  この説が正しければ、レリックに寄生されてしまったせいだって。
  だから今に至るまでジュエルシードは尽きていないんだって、説明はできる」
 「でも、ただの仮説にしては詳しいよね」
 「仮説を立てた魔法使いが、最後のジュエルシード封印の際に魔力資質のない友人に立ち会ってもらったんだ。
  だから、今私が話したのはその友人が書き残したこと。
  ハラオウンの情報収集能力でも、それ以上のことは分かっていないみたいだ」
 「そっか」
 「うん」
 裏口、だろう。
 正面入り口よりは小さな、けれどもそれなりの大きさを持った両開きの扉が二人の目の前にあった。
 「ここから入るの?」
 「いや、さすがに鍵がかかっているよ。
  錆び付いて、二度と開かないだろうしね」
 言うとフェイトは、すぐそばにあった窓の鎧戸に手をかけた。
 「よっ、と」
 軽い声とともに、ごとりと鎧戸が外れてガラス窓があらわになった。
 「ふえぇ、すごいねフェイトちゃん。
  そんなこともできるんだ」
 「違うよ、なのは」
 感嘆の声を上げたなのはに、慌てて手を振るフェイト。
 「元から、外れかけてたんだ。
  ちょっとコツはあるけど、外すのはそう難しいことじゃないんだよ、ここだけは」
 「へぇ」
 「ちょっと離れてて」
 「うん?」
 数歩下がったなのはを横目で確認して、フェイトの手が窓の一部分をなぞった。
 甲高い音がなのはの耳に届く。
 心地よいとは言えないその音になのはが片耳を押さえた。
 次になのはが聞いたのは、カシャンという音だった。
 砕け散る、音。
 一部が抜けた窓ガラス。
 窓の下、フェイトの足元で光を反射する細かな破片。
 「受け止め損ねちゃったよ」
 そう言って、フェイトはばつが悪そうに頭をかいた。

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