Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 19
昨年のことですが、
クリスマスプレゼントにインフルエンザウイルスをもらいました。

こんばんは
フェルゼです。

発症しなければなんということもない!
ということで、様子を見ましたら幸いにも、
無事年越しをすることが出来ました。
やれやれ。

というところで今回もM. T.
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 その日のなのはの担当は洗濯。
 濯ぎ終わった洗濯物を抱えて、えっちらおっちら物干し場に向かう。
 そのなのはの目に、ふと台所の様子が映った。
 洗い物を始めたはやての傍らを、くるくるとヴィータが動き回っている。
 その日はヴィータ自身の当番はないから、手伝いなのだろう。
 はやての、そして何よりヴィータの嬉しそうな様子が見ているだけで伝わってくる。
 シグナムやシャマルも、嫌そうな顔など決して見せないが、それでもヴィータの表情はその二人とは異なるものだった。
 "……ヴィータちゃんは"
 ふと、なのはの頭に浮かんだ疑問。
 見た目の幼さゆえか、その方面での不器用さゆえか、まだ主な家事は担当させてもらえず、どちらかというと補助的な役割が多いヴィータ。
 しかし、彼女自身一人でも生活できるだけの能力は持っているようではある。
 ならばなぜ、ここにいるのだろうか。
 手伝いという、云わば誰にでも代替可能な仕事のために?
 それとも共同生活による、個々人の負担軽減のため?
 フェイトの傍にいたころのなのはと、今のヴィータの姿が時折重なる。
 違いは、そこに居続けられなかったこと。
 なのはは、理由が見つけられなかったから。
 ならばヴィータは、理由を見つけたということなのだろうか?
 ぐるぐる回る思考のループから、なのはが抜け出すための切っ掛け。
 ヴィータは、それを知っているような気がした。

 乾いた洗濯物をシャマルの元に届けて、自室に戻る途中。
 はやての部屋の戸が開いて、ヴィータが姿を見せた。
 二言三言、部屋の中に声をかけてから、なのはの方に歩いてくる。
 おそらくは自室へ戻ろうとしているヴィータを、擦れ違いざま、なのはは思わず呼び止めた。
 「ヴィータちゃん」
 なのはが背中を見つめる。
 数歩分擦れ違ってから、ヴィータが振り向いた。
 「あ?なんだよ、なのは」
 「なんでヴィータちゃんは、ここにいるの?」
 「なんだ、藪から棒に」
 「……なんとなく」
 要領を得ない返事だけを返したなのはに、ヴィータは眉根を寄せて中空を睨みつけるような表情をした。
 「何を聞きたいんだ?
  ここに来た理由か?
  ここにいることにした理由か?
  今ここにいる訳か?」
 「あ、えっと、昔のことじゃなくて、今のこと。
  もちろん、ヴィータちゃんが構わないなら、だけど」
 「私が、手伝い程度しかできないのにここにいるからか」
 「いや、あの、そういう、ことじゃ……」
 「いいさ、隠さなくても。
  それくらいのことは自分にでも分かってる。
  始めの頃は何度も思ったさ。
  私なんかよりももっと、うまくできる人がいるって」
 わしゃわしゃと、ヴィータが自らの髪を乱した。
 せっかくきれいに整えてあるのにもったいないなと、なのはは少し的外れなことを考える。
 「まぁ、なんだ。私にだって、手伝いくらいはできるしな。
  そうすることではやてが喜んでくれるのを見るのは嬉しいし」
 「そうなんだ」
 あぁ。と、めんどくさそうな響きがヴィータからこぼれた。
 喜んでくれるから、か。小さく呟きつつ、なのはがその言葉を咀嚼する。
 喜んでくれる誰かのために、居場所を決めるのだろうか?
 確かに、誰かが喜んでくれるならば嬉しい。
 けれどもそれは、なのはの探しているものとは少しだけ違う形をしていた。
 微妙な、違和感。
 「あー……ぅ―」
 「ヴィータ、ちゃん?」
 なのはが顔を上げた先には俯いたヴィータがいて、言いにくそうにしながらも何事か、口にしようとしていた。
 先ほどの続きだと当たりをつけ、なのはは思考を中断する。
 見つめられて、ヴィータが少し赤くなった。
 「でも、それよりなにより、私が居たいからに決まってるじゃねーか」
 「え?」
 頬を染めたヴィータが、分かったならそこどけよとぶっきらぼうに言った。
 「あ、うん。
  ごめんね、引き留めて。
  ありがとう」
 なのはの言葉に振り返ることなく、ヴィータは少し足早に帰って行った。
 呆としたままそれを見送って、一つ頭を振るとなのはもまた、自室に引き上げた。
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