Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 15
緑茶に蜜柑でほっと一息
だけど我が家にや炬燵がないのよ

こんばんは
フェルゼです。

炬燵というデバイスがない代わりに、我が家では布団という魔道具が猛威をふるっております。
あの程良いぬくもりが……!
たまらない!

さて、今回更新もM. T.
見比べは大事だと思います。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 数日後。
 「じゃあ、あたしらはちょお仕事行ってくるで。
  なのはちゃん、また買い出し、頼めるか」
 「うん、任せておいて」
 はやてたちが仕事でいない間になのはが家事を進めておく。
 それがこの数日のパターンだった。
 「じゃ、任せたわ」
 出ていくはやてたちを見送って、なのはもその場を後にした。

 あの店、この店。
 値段と質とを見比べながら、店の並ぶ通りを抜ける。
 ふらふらと歩くうちに、気付けばなのはは町の外れまで来ていた。
 少し離れた所にはもう、森が見えている。
 見慣れた景色。
 見覚えのある建物。
 面識のある人々が出入りしている。
 なのはの足が止まった。
 「……」
 森の際を通って、今は無人のはずの家を回り込む。
 人の気配漂う診療所。
 裏口の方からそっと覗くと、なのはの心臓が一つ鳴った。
 そこにあったのは、フェイトの姿。
 こちらには気づく様子もなく、診療をこなしていく。
 なのはがこなしていた分の雑事だろう、席を立つ回数が多い以外は今まで通りだった。
 いたって普通の、フェイトに見えた。
 息苦しいような思いが、なのはの中に渦巻く。
 喉を塞ぐそれを吐き出すように、声に、出した。
 「いなくたって、おんなじだ」
 足元に落とした声は、はねて、なのはの中に黒く広がっていく。
 「やっぱり、私がいなくても……」
 「何してんだこんなとこで」
 突然の声に、肩が跳ねた。
 「あ、いえ、その……」
 恐る恐る振り向くと、不思議そうな顔をしたゲンヤが立っていた。
 「あんたの事訊いたら先生言葉を濁したんだが、家出でもしたのか?」
 「えと……似たような、ものです」
 「なんでそんなことしたんだ?
  先生、すっかり落ちこんどるぞ」
 「え……でも、とてもそんなふうには……」
 一瞬なのはの視線が診療所との間を往復した。
 「あからさまに落ち込みながら診察されたら、こっちが不安にならぁな。
  ちょっとした用の時、誰かに頼もうかとするように腰を上げかけたり、白衣のしわ伸ばしもへたくそ。
  平静さを繕っても、俺らみたいな常連からすれば丸わかりよ。
  診療所の常連ってのは、カッコいいもんじゃねえけどな」
 からからと笑ったゲンヤは、しかし次には表情を引き締めてなのはを見た。
 「帰ってきてやらねぇのかい?」
 「考える時間を、ください」
 「そうかい……。
  気付いてたかどうかしらねぇけどよ……俺たちゃあ、あんたの事も信頼してんだ」
 「え?」
 「いくら先生の腕を信用してたって、薬の調合すんのはあんただからな。
  先生が見込んだあんたに間違いはないと思ってるし、実際あんたはその期待にしっかり応えてくれた。
  ここに通ってるやつらで、あんたをいらないなんて思うやつはいないぜ。
  むしろ、いて欲しいと思ってるくらいだ。
  ま、俺なんかが言ったところで怪しいもんだけどな」
 さて、お大事にするかな。そう軽く言って、ゲンヤが踵を返した。
 その背を見送って、もう一度フェイトの様子を眺めて。
 なのはも、その場を後にした。
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