Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 13
気付けば二周年ですよ、二周年。
昔書いたSS読んで凹んでる場合じゃないですね。

こんばんは
フェルゼです。

というわけで、当ブログも始めて二年が経ちました。
なのフェイだったり、フェイなのだったり、ヴィヴィフェイだったり、ティアフェイだったり、ひだまりだったり、外に出て中の人だったり。
そのうち、上記以外を原作とするものも載せるかもしれません。
それはまぁ、そのうちということで。
二周年記念ということで、ちょっと考えていたものもあるのですが、M. T.ぶった切るのもなんですから、まずはこっちを何とかしようと思います。
なんとか……どうにか。
この二年、初めから……などという方はおられるのかどうか……ちょっとわかりませんけれども、
こうして今ご覧下さっている方々と、届かないでしょうけれどももうここを去られてしまった方々に、感謝を。
ありがとうございます。

さて、今回更新もM. T.
私は何か成長したのだろうかと疑問に思わざるを得ない第十三話。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。


*前回に引き続き、他の方のサイトでお世話になってるお知らせです。
てか、豆腐様です。
豆腐様の中でフェイティアが秘かなブーム(だった?)ようでして、それにちょっとドロッとした要素を付加したものを思いついたので送らせていただいたところ、掲載してくださったという。
うちにもplayという名のティアナさんとフェイトさん(?)のお話がありますが、なぜティアナさんをああいう位置づけにしてしまうのでしょうか。

 最低限の私物。
 ここに来た時とは若干内容の変わったそれを手に、なのはが部屋を後にする。
 「行く当てはあるの?」
 背後から声が届いた。
 なのはの後ろ、同じように背中を向けたフェイト。
 あぁ、もう診療時間は終わっていたのだと、そんなことを考える。
 「……」
 無言のなのは。
 黙り込むフェイト。
 背中合わせの沈黙。
 「でも、今はここにいられない」
 ようやく、それだけをなのはが告げた。
 「……そう」
 フェイトが返して。
 二人、そのまま立ちつくす。
 風が窓を揺らし、ガタガタと窓枠を鳴らした。
 僅かな重心の移動が床に伝わり、ギシリと耳障りな音を立てる。
 普段は気にもしていなかった音がなのはを包む。
 フェイトは一言も発しない。
 追い立てるような沈黙に耐えきれず、ギュッと奥歯を噛み締めて、なのははその場所を後にした。
 
 "止めて欲しかったな"
 人通りの多い交差路で、陽の眩しさに目を細めた。
 あそこを離れて、それで……どうすればいいのかが解らない。
 それに気づいて、今更ながらなのはは途方に暮れた。
 国には、帰れない。
 帰ったら、二度とは戻れなくなってしまう。
 戻る……そう、私は戻りたいから。
 離れたくないから、だから。
 だから……。
 だから、離れ……た。
 ギュッと、強く眼を閉じた。
 小さく首を振って目を開ける。
 と。
 視界の隅に、覚えのある影を見つけた。
 「は……やて、ちゃん?」
 呼ばれたことに気付いたのか、人影が―――はやてと呼ばれた少女が足を止める。
 年の頃はなのはと同じくらいだろうか。
 なのはよりも短く髪を切りそろえているが、スバルのような活発さは感じられずむしろ母のような雰囲気を纏っている。
 「ん?私んことしっとるんか?……って、え!?まさか、なのは、ちゃん?」
 「うん……」
 小さく俯いたなのはの肩を、はやてがつかんで揺さぶった。
 「なのはちゃんとこ、大騒ぎになっとったで!?」
 「あー、知ってるんだ」
 「こないだまで、なのはちゃんとこにおったんよ……。
  そこで、いろいろ聞いた。
  国中しらみつぶしに探して……そろそろ他の国にも協力をあおがなかんって話になっとった。
  あれ以来やったもんで、噂程度の事しかわからへなんだけど。
  ……なぁ、誘拐されたんちゃうんか?」
 無言で首を振るなのは。
 「なら、失踪したゆうあれは嘘なんか?」
 変わらず、無言で首を振る。
 「どういうことなんや、いったい……」
 口を噤んで俯いたまま、なのはが動きを止めた。
 「あー……」
 はやてが手を頭に当てる。
 「一個聞いときたいんやけど、なのはちゃん、行く当てとか泊まるとことかあるんか?」
 「……ない」
 恥ずかしそうになのはが呟いた。
 「つかまっとったとこから逃げてきたとか、そういうわけじゃないんやな?」
 「うん……」
 「なのはちゃんの意思で、うろうろしとるんやな?」
 「うん……」
 「無計画にも程があるで、なのはちゃん」
 「ごめん」
 「そんなとこ謝られてもしゃあないんやけどな。
  ま、会ってまったんや。これも何かの縁やろ。
  とりあえず、うちにき」
 「いいの?」
 「ここで友だち見捨てるほど、あたしは狭量ちゃうよ」
 「ごめん……ありがとう」
 「ええよ。じゃあ、いこか。
  八神のおうちに案内したるわ」
 はやてに続いてなのはが歩き出す。
 少し離れた角で翻った金髪にはその場の誰も、気づいていなかった。

 翌日。
 「こちらになのはがいると思うのですが」
 八神の家に、一人の女性が訪ねてきた。
 纏う空気はどことなく剣呑で、門のところに立っていたシグナムはその女性に視線を固定してから、ゆっくりと体を向けた。
 「失礼ですが、あなたは」
 警戒するような視線を隠さないでシグナムが訊ねる。
 「申し遅れました。私はフェイト―――この町の隅で診療所をやっております」
 「そうですか。少しお待ちください……主!」
 シグナムが中に声をかける。
 しかしその時、すでに中では事態が進行していた。
 『こちらになのはが……』という声が漏れ聞こえて、誰だろうとはやてが首を傾げたそのタイミングで、なのはがびくっと体を震わせた。
 怯えにも見えるその様子に、はやてが顔をしかめる。
 「国から消えた言うんで一人やないとはおもっとったけど……表におるんが犯人なんか?」
 無言のなのは。
 「なんか、危害を加えられたりしたんか?」
 「絶対にない!そんなこと……!」
 それにははっきりとした声で返す。
 はぁ……と、はやては溜息一つ。
 「どうしましょうか、はやてちゃん」
 微笑むシャマルは、はやての次の言葉をもう分かっているのだろう。
 「シグナム、表の人には一旦帰ってもらい。なのはちゃんが落ち着くまでは、うちで預からしてもらうで」
 顔を出したシグナムに告げると、一つ頷いたシグナムがそのことをフェイトに伝えた。
 「なのはは、ここにいるのですね?」
 フェイトが念を押す。
 「あぁ、そのようだ」
 「そうですか……では、すみませんがなのはのこと、お願いします」
 「主に伝えておこう」
 請け負ったシグナムに、ようやくフェイトの表情が緩んだ。
 家の奥に向かって頭を下げて、そしてフェイトは踵を返した。
 「どう見る?」
 その背を見送っていたシグナムの横から、はやてが顔を出した。
 「悪い人ではないようです」
 「ふむ。シグナムがそう言うなら、そうなんやろうな」
 ん……とはやてが伸びをする。
 「じゃあ、あたしはご飯の準備始めるから。
  シグナム、シャマルと一緒になのはちゃんにうちの掃除の仕方とか教えたって」
 「かしこまりました」
 玄関の戸を閉め、シグナムも家の中に消える。
 八神家でのなのはの生活が、こうして始まった。
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