Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 11
Could you dance with me?

こんばんは
フェルゼです。

お土産にもらったバームクーヘンがおいしかったので、
コーヒー片手にほっと一息。
おいしい大福に備えて、急須の発掘作業を再開させなくちゃな…なんて考えてます。
緑茶はいいですねぇ。

さて、今回更新もM. T.
何のかんので続いています。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 「スバル、調子はどう?」
 ギ……と椅子を回して、フェイトはスバルに向き直った。
 「もういいと思うんだけど……まだ杖使わなきゃだめ?」
 「無理して傷口開いたら、また痛いよ?」
 「はーい」
 しぶしぶといった体でスバルが間延びした返事をすると、フェイトはため息をついた。
 「まさか、傷口濡らしてないよね」
 「ちゃんと気をつけてるよー」
 「ホントかなぁ……なのは、処置お願い」
 「うん」
 包帯とガーゼ、それに塗り薬を持ってなのはが姿を見せた。
 スバルの具合をメモしつつ、なのはの手元に目をやったフェイトが鋭く声を上げた。
 「なのは!」
 「え!? ふぇ!?」
 「何塗ろうとしてるの?」
 「え、お薬……」
 「それ、何番?」
 「紫の4番」
 「私は、スバルには何を使うよう指示したか、覚えてる?」
 「え、えっと……紫の……」
 「紫の?」
 なのはの顔から、すっと血の気が引いた。
 「紫の……7、番」
 「それは?」
 「紫の、4番……」
 「……ふぅ。
  なのはは後で反省。
  すぐに7番持ってきて」
 「ハイ……」
 足早に、若干肩を落としてなのはが薬の交換に向かう。
 「ごめんね、スバル」
 「あー、うん、大丈夫だよ。まだ塗る前だったんだし。
  それよりも先生、反省って、何?」
 「なんで間違えたのかっていうのを、なのはなりに考えてもらうための時間だよ」
 「ふぅん……」
 体をゆすりながらスバルが頷いて。
 「ねえ、フェイト先生やっぱり厳しいの?」
 薬を手に戻ってきたなのはに訊ねた。
 「うぅん、そんなことないよ」
 なのはが首を振りつつ、処置をしていく。
 「へぇ……でもまぁ、本人の前で厳しいなんて言えないよね」
 「本当にそんなことないんだよ」
 なのはが繰り返すも、スバルはにやけた笑みを崩さない。
 「はい、できました」
 包帯も巻き終わったスバルが立ち上がって、トン、と踵を返した。
 「先生もさー、あんま厳しくすると前の子みたく辞めちゃうよ」
 「前の子?」
 フェイトが手を持ち上げて、何事かを言おうとする前になのはがスバルを捕まえた。
 「私の前に、助手やってた人がいたんですか?」
 口調こそいつも通りだが、その横顔に平素にはない焦りにも似た色をフェイトは見つけた。
 これはまずいかもしれない……フェイトが胸の中で呟く。
 「あ、うん……。結構前だったけど、あなたよりは短いが明るい色の髪した子で、名前は……」
 「スバル!」
 なのはの剣幕に若干仰け反りながら言ったスバルに、フェイトが鋭い声を飛ばした。
 「あ……すみません」
 肩を竦ませ、背を向けようとしたスバルをなのはが再び捕まえる。
 「名前は?」
 「うぇ!?」
 「名前なんて聞いてどうするつもりなの、なのは」
 「フェイトちゃんは黙ってて!」
 フェイトを一喝したなのはが再びスバルを向き直る。
 「あ、あの……私も父さんに聞いただけだから、名前は忘れちゃって……」
 「何か覚えていることは!!」
 「なのは!」
 「何でもいいから!」
 行動に困ってフェイトを見るが、なのはによってその視界はふさがれてしまう。
 「医者の卵で、当時はあなたより年下だと思う。先生には住み込みの弟子入りみたいな形になってたって……」
 「住み込み……だったの?」
 「あの頃は、ここにも生活できる程度の設備があったんだよ。
  あの子は大概、ここで寝泊まりしてた」
 小さくフェイトがため息をついた。
 「スバル、処置は終わったから帰っていいよ。
  なのは……も、今日はもういい。
  戻ってて」
 「フェイトちゃ……」
 「今のなのはに、全幅の信頼を置くのは難しい。
  分かるよね」
 「……分かり、ました」
 気まずそうなスバルを見送って、そのままなのはは部屋へと戻った。
 「それじゃあ、次……」
 いつもと同じはずのフェイトの声が、その時だけは妙に、冷たく響いた。
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