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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 10 フェイト先生となのはさんの何の変哲もない一日~夕~
嵌められたと分かっていても、逃げ場はありません。
さて私は、この罠から逃げ出すことが出来るでしょうか。

こんばんは
フェルゼです。

ちょっとは何かないと話は進まないなと思いつつ。
まぁいいやとばかりに何も起こらない物語。
けれどもそれも、今回まで…かな?
次回辺りから少しずつ動かす予定です。
どう動いたら、どう終わるかしらん?

というわけで、今回もM. T.
何も起こらない物語、一区切り。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。
 
 「午後の分も終わり…と」
 「みんな帰ったし、閉めるよ?」
 「うん、お願い。私は今日の分整理してから戻るから、なのはは先に戻ってて」
 「お疲れ様、フェイトちゃん」
 「なのはこそ。スバルの事もあったし、疲れたでしょ?
  本当に、お疲れ様」
 「うぅん、私はフェイトちゃんの言った通りに走ってただけだから」
 「私一人だとね、止血もしなくちゃいけないし薬も取りに行かなきゃいけないしで、大変なことになっちゃうんだ。
  だから、すごく、助かったよ」
 「うん…でも、大事なくてよかった」
 「そうだね。あれなら、通院で何とかなるレベルだったから」
 机の上の書類をまとめるフェイトに軽く手を挙げて、施錠をしつつなのはが診療所を後にした。
 家に戻る途中で洗濯ものを取り込んで、両手いっぱいに抱える。
 「よっこい…しょっと」
 手元が見えないため、手探りで勝手口の戸を開ける。
 「ふぅ」
 適当なところに洗濯ものを下ろして、一息ついた。
 「先にスープの火、付けておこうかな…」
 呟いて、下ごしらえ済みの材料を入れた両手鍋を、弱火にかけた。
 しばらくすればくつくつという音が聞こえてくるはずだ。
 「さ、洗濯もの洗濯もの」
 パタパタと、先ほど下ろした洗濯物に取り掛かる。
 なのはのものとフェイトのものとを分け、上着だとか肌着だとかいったものも分けていく。
 しっかりしわを伸ばしておかなければならないフェイトのシャツなどはまた別の山に。
 そんな作業を繰り返していると、時折、あっても一、二枚だけれども。
 「あ、これ解れてる」
 多少の修繕が必要なものが見つかることがある。
 「このひらひらは…フェイトちゃんの下着だよね」
 色が黒という時点でなのはのものではありえないのだけれど、右手で目の高さに持ち上げて確認してみる。
 何を?
 さぁ?
 「うん、フェイトちゃんのだ…って、あれ?これもだ」
 そう言ってなのははもう片方の手で別の布を引っ張りだした。
 「私のタオルも、か」
 なのはがいつもポケットに入れている小さなタオル、その端から糸が伸び出していた。
 「後で縫っておかなくちゃ」
 後ろにでも置いておこうかと体を捻った時、台所からカツカツカツカツと金属音がした。
 「わ、お鍋が!」
 慌てて立ち上がり、タオルはすぐ使うからとポケットに突っこんだ。
 鍋の蓋を少し傾けると、吹き上がっていた泡が収まっていく。
 けれども、吹きこぼれの所為で汚れてしまった鍋に目をやると、こぼれるため息は仕方のないことだった。
 「ただいまー」
 「あ、フェイトちゃんお帰り」
 「どうしたの…って、吹きこぼれちゃったのか」
 「うん、洗濯もの畳んでたら、ね。やっちゃった」
 「なのははやけどとかしてない?大丈夫?」
 「私は大丈夫だよ」
 「そう、なら、よかった。じゃあ洗濯ものは私がやっておくよ。
  なのはは料理の方、お願い」
 「いいの?」
 雑多なものを小脇に抱えたままのフェイトに尋ねる。
 「私が夕飯の支度するのと、どっちがいいと思う?」
 「えと…洗濯もの、お願いします」
 「何気に失礼だよね」
 「自分から言い出したくせに」
 ひらひらと手を振って自室に向かったフェイトの背中に、思い切り舌を出す。
 主菜の魚も火が通った頃、洗濯ものがひと段落ついたらしいフェイトが台所に姿を見せた。
 「あ、ちょうどいいタイミング。
  フェイトちゃん、お皿用意して」
 「しまった、据え膳を逃した」
 「はいはい、残念でした。盛り付けたのから、食卓に運んでね」
 大皿、小皿、スープ皿。
 フェイトが用意したそれになのはが料理を盛り付けていく。
 フェイトが今度はそれを食卓へと移動させて。
 そのまま席についたフェイトが少し待っていると、軽く片付けたなのはも腰を落ち着けた。
 「じゃあ、いただきます、なのは」
 「召し上がれ、フェイトちゃん」
 改めて手を合わせたなのはが主菜に手を伸ばす。
 「うん、おいしいよなのは」
 なのはが口に含む前に、フェイトが嬉しそうに言った。
 「そう?よかった」
 言って、なのはも口に含む。
 「うん、上出来」
 満面の笑顔のフェイトに、思わずなのはも笑みが漏れた。
 「ノエルさん、どこで買ったのかな」
 「ノエル?来てたの?」
 「うん。あ、診てもらいにじゃないよ」
 「びっくりした…私が忘れたのかと思ったよ」
 「昼からの診療の前にね、フェイトちゃんが行ったすぐ位かな。
  こっちにノエルさんが来て、おいしそうな魚が手に入ったからお裾わけって」
 「へぇ…そうなんだ。
  何か御礼はしたの?」
 「うん、昨日の夜の煮物」
 「え!あれ、あげちゃったの!?」
 「うん…いけなかった?」
 「すごくおいしかったから、今夜もちょっと食べようと思ってたのに…」
 「また作ってあげるよ」
 「うん…」
 少ししょぼくれたフェイトが、再び魚をつつく。
 「おいしい」
 途端に上機嫌になるのが可笑しくて、なのはは笑いをかみ殺した。

 「洗いもの終了、と」
 「お疲れ様。
  片付けも終わったよ、なのは」
 「ありがとう」
 のんびりと、後ろで手を組みながらフェイトがなのはに歩み寄る。
 「じゃあ、次は…」
 残りの仕事を描きつつ、なのははタオルを出そうとポケットからそれを引っ張り出した。
 少しゴワッとした感覚。
 なのはの手元に目を向けたフェイトが固まった。
 「どうかした?フェイトちゃん」
 「何、持ってるの?なのは」
 「何って…タオル…」
 答えつつ手元に視線を落とす。
 ゴワッとした感覚は確かにタオルのもの。
 でも、それに引っかかるようにしてぶら下がるのは。
 黒の、ひらひら。
 「キャーッ!」
 バチーンというクリティカルヒットな音が、静かな夜を乱した。
 …
 ……
 ………
 「…なのは」
 「ごめん」
 「…ねぇ、なのは」
 「ごめんなさい」
 「頬が痛いです、なのは」
 「本当に、ごめんなさい」




 後書き
 私にとって日常とは、食事と切り離せないもののようです。
 あぁ…おいしいお魚食べたい…。
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