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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 7 フェイト先生となのはさんの何の変哲もない一日~朝~
長い長い
リンゴの皮

こんばんは
フェルゼです。

最近リンゴをよく食べるのですが、おかげで皮むきがずいぶんと上手くなってしまいました。
ブチブチ切れていた皮が繋がるようになった時のあの感じは…快感?

今回更新もM. T.
前回が駆け足だったので、今回は散歩です。
別に何も起こらない物語。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。


 「ほら、早く起きてフェイトちゃん!」
 「ん…なのは?」
 「そうですよ、なのはさんですよ。朝ごはん、もうすぐ食べれるから準備してね」
 「ふぁい…」
 「はい、しゃんとする!寝ぼけてたら食べさせてあげないんだからね」
 「しゃんとしてたら、なのはが食べさせてくれるの?」
 「そういう意味じゃないの!」
 「えー」
 「えー…じゃないの!今日の服出しておいたからね。
  食卓に着くまでにちゃんと着換えておいてよ」
 「ふぁーい…」
 あくびをしながら、背中を丸めたフェイトが洗面所へ向かう。
 「もう…私がいないと何もできないんだから」
 それを見送って台所へと戻りながらなのはが呟く。
 困ったような文章とは裏腹に、その表情は明るい。
 自分が存在することで成り立つ空間、誰でもない自分が必要とされている場所。
 いつしかなのはに取ってここは、そういう場所となっていた。
 そんなことを考えていると、寝間着からシャツに着替えたフェイトが台所に入ってきた。
 「なのはー、今日の朝食はなに―?」
 「ご覧の通り」
 「あぁ、なのはの国の朝食、か」
 「不満なの?」
 「いや、そんなことはないよ。いただきます」
 手を合わせたなのはに倣うように、フェイトも手を合わせて。
 一緒に、まず椀に手を伸ばした。
 「ないんだけど…このお汁、やっぱり少し塩からくない?」
 「そんなことないよ。これくらいがちょうどいいの」
 「ふぅ、ん…」
 「あ、あとフェイトちゃん。苦いからって、その葉っぱ残したらだめだよ」
 「はぁい」
 フェイトが器ごと端に退けようとしていたのを目ざとく見つけなのはが声を飛ばすと、フェイトは仕方ないという雰囲気を全開にしてそれを口に含んだ。
 正直、作った身としてはそんなまずそうに食べて欲しくはない。
 「言うほどまずいかなぁ?」
 同じようになのはもそれを口に含むが、淡く広がる苦みもこの食材の持ち味と思えばそれなりに美味しいと思えた。
 「味覚の感度は人それぞれだからね。まぁ、でも、昔食べたのよりはいいかな」
 「どういうこと?」
 「なのはの料理なら、少しは美味しく食べることができるなってこと」
 うりゃっと小さく掛け声一つ、フェイトが器を空にして、息もせずに椀を飲み干す。
 「ふぅ」
 「どう見ても、流し込んでるようにしか見えないんだけど」
 半眼で睨みつけるも、フェイトは動じない。
 「以前なら、手もつけなかっただろうからねー。進歩進歩」
 「へぇ…」
 「なのはが食べさせてくれるんだったら、もっと美味しく食べられるのになぁ」
 片目でにやにやと笑うフェイトに、ちょっとムッとする。
 「じゃあ食べさせてあげるよ。ほらフェイトちゃん、あーん」
 自分の器に残っていたそれを全部、フェイトに差し出す。
 「いや、そんななのはのがなくなっちゃうから、悪いよ」
 「まだお鍋にたくさん残ってるから大丈夫だよ。ほら、あーん」
 しくじったという表情を浮かべるフェイトに、今度はなのはに笑みが浮かぶ。
 チェシャ猫のような笑いではあるが。
 「あ、ん…」
 言った手前引くこともできず、フェイトがそれを口に含んだ。
 咀嚼するたびに、眉間の谷間が深さを増していく。
 流し込むものを探してか視線が食卓の上を彷徨うが、フェイトの分の汁物もお茶も、空になっている。
 コップを持って立ち上がり自らの背後に消えたフェイトに、満足げな表情で食事を再開するなのは。
 ことんとコップを置く音が聞こえて、それからフェイトに肩を叩かれた。
 「なに?飲み物ならいつもの…」
 振り向いたなのはに、狙い澄ましたようにフェイトが被さった。
 またキスされたと、思う間もなくなのはの咥内にどろりとしたものが流し込まれる。
 広がる苦みに、してやられたと思った時にはすでに、フェイトは満足げな笑みを浮かべてなのはを見下ろしていた。
 「……っ!」
 声にならないなのはの叫びが、朝の食卓に響いた。

 「そんな怒らないでよ、なのはぁ」
 「うるさい」
 怒り心頭といった顔で洗い物をするなのはに、右頬を赤く染めたフェイトがまとわりつく。
 「ちゃんとキスする前には一言言うようにするからさぁ」
 「暇なら掃除と洗濯進めておいて!」
 「はい!」
 仕舞おうとした包丁を握って振り向いたなのはに、フェイトは慌てて踵を返した。
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