Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M. T. 3
意外なこと、というのは
こちらが意識していなかった事象から飛び出してくるから困りものですね。

こんばんは
フェルゼです。

毎度のことですが、長編構成力の少なさに泣きそうです。
まぁ、長編と言うには短いですが。
秋刀魚や鰯を食べながら頭を捻る日々。
困ったことに、私は楽しんでいるのですけれども。
さて
本日更新分も迷走の跡を分かりやすく残すM. T.
進む速さは牛歩の如く、ご期待に添えてなかったらすみません。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。
 「ん…?」
 普段とは違う感触に、なのはの目覚めたての頭が疑問符を浮かべた。
 「おはようございます、お姫様」
 こんな声の侍女、いたっけ…?
 「いや、もうお姫様じゃないんだ。キミ、とだけ呼んだ方がいいのかな」
 パンッと弾かれるように、意識が覚醒した。
 「あ…!」
 バッと掛けられていたシーツを捲って見る。
 「何にもしてないよ」
 フェイトが呆れたように言った。
 「信じられない」
 「ひどいなぁ」
 「この間は、勝手に…その…したくせに」
 「勝手に?…あぁ、キスのこと?」
 「///!」
 「減るもんじゃなし。食べる物そこに置いておいたから、適当に食べて。
  日が昇る前ここを発つから、さっさと用意」
 「…なんか、偉そう」
 「偉いの。今、私はキミの保護者でキミは私の被保護者なの」
 「そう…だけど」
 「納得しないならいいよ。ここでお別れだ。
  私はちゃんとキミを連れ出した。約束は守ったわけだからね」
 「ちょ、ちょっと待ってよ!」
 「一緒に来るなら納得して」
 「…分かった」
 なのはが口を尖らせた。
 「ほんとに分かってるのかなんなのか…もう悠長に食べてる時間はなさそうだね。
  それ包んで、私の後についてきて」
 「なんでこんなに早く出るの?」
 「あのねぇ…朝になってキミがいないことが知られたら、大騒ぎになるに決まってるじゃない。
  継承権がないからって、キミも立派なお姫様なんだし、何より大事な子供だ。
  国の外へ出る道なんて、完全封鎖だよ。そうなったら私は迷いなくキミを置いていくよ」
 「…そんなことしたら、あなたのこと話すよ。宝石泥棒の誘拐犯だって」
 売り言葉に買い言葉でつい口にしたなのはの言葉に、外へ向かおうとしていたフェイトが足を止め、なのはに視線を向けた。
 「本気で、言っているの?」
 今までのどこかふざけた響きが鳴りをひそめ、冷酷とも呼べそうな瞳がなのはを突き刺す。
 「え…ふぇ…?」
 背筋に氷柱でも差し込まれたような寒気が走り、なのはの膝ががくがくと震えた。
 本能的な恐怖。
 なのはの今までの人生で、一度も見たことのない瞳だった。
 「もう一度聞く。本気で言っているの?」
 「本気…だったら、どうするの」
 「この場でキミの口を封じる」
 「…」
 絶句したなのはに、顔だけ向けていたフェイトが体ごと向き直った。
 「それで、キミの答えは?」
 「いわ、ない」
 「絶対に?」
 「絶対に」
 「そう…じゃあ、それを信じよう」
 なのはの荷物と自身の荷物を手に、フェイトが部屋の反対側にある戸のところまで足を進めた。
 「もし、違えたら」
 なのはには聞こえなかったが、ぼそりとフェイトが何かを呟いた。
 次の瞬間。
 「どんな手段を使っても、私はキミに報復をする」
 なのはの背後で黒いサイズを手にしたフェイトが、その鈍く金に光る刃をなのはの喉元につきつけていた。
 頷くことすらできず、崩れそうになる下半身を必死で押し止める。
 おそらくは数秒に満たない間。
 始まりと同じように、終わりも唐突に訪れた。
 「と、いうわけだから。約束は、違えないように」
 いつの間にかその手から大鎌は消えており、いつもの笑みを浮かべたフェイトがなのはを覗き込んでいた。
 ヘタリ…と崩れ落ちそうになるなのはの手と腰を取って笑う彼女に、先ほどまでの気配は微塵も残っていなかった。
 
 「お疲れのお姫様には馬車を…と言いたいところだけど、調達が面倒でね」
 空き家を出て少し歩いたところに、一頭の馬が繋いであった。
 堂々とした体躯の黒馬。
 「キミは荷物を抱えていて。私がキミを抱えて手綱をとるから」
 言われるがままに、フェイトの助けを借りつつ馬の背に上がる。
 繋いでいた紐を外し、手綱をつけると軽い身のこなしでなのはの背後に落ち着く。
 「じゃあ、行くよ」
 まるでその声がわかったかのように、黒馬は静かに、だんだんと速度を上げて薄明の中を駆けていった。

 途中からは街道をはずれて森に入った。
 渡された帽子で顔を隠してはいたが、いつ何の拍子に露呈するわからない。
 なのはの記憶では、町から国境までかなりの距離があったと思っていたが、森を抜けたと思ったらもうそこは、見知らぬ風景だった。
 「ここ…は?」
 「キミの国の外、というのが手っ取り早いかな」
 「あなたはこの国の人なの?」
 「どの国の、といわれると…とりあえずここじゃないよ。そして、目的地まではまだかかる。
  疲れた?」
 「うぅん、大丈夫」
 「無理はしないでよ」
 「心配してくれるの?」
 「変なところで休みたいとか言われても、こっちが困るから」
 「あー、そうですか」
 「期待した?」
 「してません!」
 なんだ、ヒトがせっかくちょっとだけいい気分になってきたのに。
 そんな思いを込めて睨みつけてみるも、どこ吹く風とばかりに流された。
 荷物を抱えなおしてから、視線を風景に戻す。
 膨らんだ頬が元に戻るまで、あまり時間は必要としなかった。
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