Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
M.T. 2
ただいま引っ越し中
ただいま筋肉痛

こんばんは
フェルゼです。

こちらとら出向中の身の上なので大きなことは言えませんが、
そう何度も引っ越ししなくてもいいじゃないですか、ねぇ…Boss。

さて、先週末には全く間に合いませんでした。
無茶なことは言うべきじゃないですね。
ただいま迷走中M.T.
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。


 一週間後。
 「こんな恰好でいいかな…」
 鏡に自らの姿を映してなのはは一人呟いた。
 部屋のクローゼットに在る中で、運動しやすそうで且つ目立たなそうなものを選んだつもりだ。
 足元の鞄には、身の回りの物を最小限詰め込んである。
 「あんまり可愛くないなぁ」
 無意識に呟いてから、自分が何を言ったのか気がついて慌てて首を振った。
 何とも思っていない!気にしてなんかいない!ヒトの唇を勝手に奪うようなヤツのことなんて、どうとも思ってない!
 でも…。
 「下着とか、子供っぽいって笑われたりしないかな…」
 そっとスカートの裾をつまんで持ち上げると、仄かに色の付いた純白が薄明りを反射した。
 ―――クスクス
 初めは幻聴か聞き違いだと思っていた。
 窓の向こうの木の葉が風に吹かれた音だと。
 ―――クスクスクス
 けれどもそれは徐々にはっきりした音となり、室内の、それもなのはの近くから聞こえているのだと気付いた時、なのはの顔が真っ赤になった。
 「気が済みましたか?お姫様」
 ついにはっきりと声を掛けられ、バッと音がしそうな勢いで振り向く。
 「できればスカートの類は避けてほしいのだけれど、この部屋にそれしかないのならしょうがないね。
  まぁ、捲れたところではっきりと見ることができるのは私だけだろうから、心配することじゃあないよ。
  大丈夫、下着にも子供っぽいなんて笑ったりしないから」
 「…ッ!い、いつからいたのですか!」
 「なんだか壁を感じる言い方だなぁ。あの部屋の警備が強化されたおかげで、ここの部屋には入りやすかったよ。
  ま、あの部屋に比べればってことで前回に比べれば格段に侵入し辛くなってたから、そこのところは安心していいと思う。
  優秀だねぇ、キミのところは」
 「簡単そうに入ってきておいて…どんな皮肉ですかそれは」
 「ん?皮肉のつもりはないよ。私にはちょっとした裏技があるから」
 「裏技?」
 なのはが怪訝そうな顔を見せる。
 「体術と、剣術…なら衛兵の人も使えるし、齧っただけの私なんかより強い人はたくさんいるだろうけどね、プラスして魔術師ってのはちょっと珍しいと思わない?」
 「え…魔術?」
 「そ、魔法使いなのです、私」
 「うそ…」
 「信じるも信じないも勝手だけどね。さて、そろそろ時間だ。
  私はキミを攫ってここを出なければならない。キミが言いだしたことだ。拒否は認めない」
 うって変わって厳しく響いたフェイトの声に、なのはがコクンと頷いた。
 「それで…どうするの?あなたの魔法とやらで移動するの?」
 「私一人なら、魔法の補助を使って移動した方が早いんだけどね。
  キミも連れて行くとなると、今はまだリスクが大きい。堅実に逃げ出すとしようか。
  木登りとかは得意?」
 「できなくは…」
 「ん、まぁその程度でいいや。だいたいは降りるだけだし」
 そう言うとフェイトは窓をクッと押し開けた。
 「まさか、ここから?」
 「まさか、廊下に出るつもり?」
 なのはの鞄を手に、フェイトが窓枠を蹴った。
 ふわりと柔らかく、目の前の枝に着地する。
 枝が揺れないなんて、どんな衝撃の吸収法をしたのだろう。
 「ほら」
 フェイトが手を伸ばす。
 若干躊躇ったが、なのはも窓枠に足を掛け、フェイトのいる枝へと跳んだ。
 フェイトがなのはの手をとり、着地位置を調整するかのように引く。
 同時に自分は別の枝へと移動していた。
 「少し登れば屋根に出られる。そうしたら屋根伝いに移動して、適当なところで降りるんだ」
 「そう言われても…真っ暗でよく見えないよ」
 「私が手を引く。私の手と、背中だけ見てればいいから」
 実際、それからなのははどこをどう動いたのか、長年住んだ屋敷でありながら全く分からなかった。
 音もなく駆け、跳ねていくフェイトの後を必死になって追いかける。
 時に足を踏み外しそうになるも、白い手が必ずそれを防いでくれていた。

 「お疲れ様。ついたよ」
 繋がれた白い手を見つめ続けていたなのはがその声に顔を上げると、目の前には一軒の家があった。
 いつの間にやら、町まで降りてきていたらしい。
 「こ…ここは?」
 すっかり息が上がってしまっている。
 「空き家をちょっと拝借している。いつもは宿に泊まるんだけど、さすがにこの国のお姫様を連れてちゃあ、目立ちすぎるからね。
  これ以上の移動はキミもきつそうだし、早朝にここを発つよ」
 とりあえず、と示されたベッドに身を投げ出すと即座に疲労がなのはの全身を覆った。
 長くはない時間とはいえ緊張の連続だったのだから、仕方のないことではある。
 家を出てしまったこと、今までの関係を置いてきてしまったこと、そしてこれからのこと。
 考えなければならないことは数限りなく出てきたが、"あした、考えよう"と心の中で呟いて、なのはは意識を手放した。

 「…」
 横になったと思ったらもう寝息を立てているなのはを、フェイトが見下ろしている。
 「これはまた…警戒心がないというか、肝の据わったお姫様だ」
 まさか旅行気分というわけじゃあないだろうが、本当にずっと居座るつもりなのだろうか。
 「なんにせよ、明日以降の話、か」
 呟くと、フェイトも手ごろなソファにごろりと仰向けになった。
 フェイトが目を閉じると、夜の帳だけが部屋を支配した。


 後書き
 ただいま迷走中…ということで、
 もうちょい、続きます。
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