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ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
糖衣

それをして君は
なにをして私は

こんばんは
フェルゼです。

突然ですが、リンクをフリーにしてみました。
気が向かれましたら、貼ったり剥がしたりしてやってください。

さて、連載モノも一段落し、また短編に戻ろうかな、ということで。
方向性には相変わらず困るわけですが、最後らへんに呟いたように優しい話を目指してみました。
目指してみました…。

では、短いですが。
登場されるのはお二人です。
お付き合いいただける方は、以下からどうぞ。

 彼女の腕の中、そっと目を閉じた。

 ―――とても、安心する。
 心が安らぐ。
 落ち着く。
 すべて当てはまるようで、少しずつ違うような気もするこの感覚。
 自分と言う存在から、肩書とか年齢とか役割とか。
 形や時間さえも削ぎ落として、ただ純粋な"私"になって、それを丸ごと預けてしまったようなそんな感覚。
 何も不安なことなどないような気がした。
 すべてを赦された気がした。
 彼女の腕の、中でなら。

 私たちの仕事は、所謂正義と言うもので。
 それは社会にとって必要なものだと自負している。
 けれども、たくさんの人がいればそれぞれに抱えた事情があって、それぞれの正義があって。
 時にそれは、私たちのものとは反するものとなる。
 「平気?」と訊かれれば「大丈夫」と答えるそれは、チクチクと小さな傷を残していた。
 肉体の傷は、そのほとんどが時とともに薄れる。
 心に残されたそれは、だけれども、肉体のものとは性質を異にしていて。
 見えないままに擦り減っていたそれが確かに癒されていくのを、私は感じていた。
 穏やかな、温もり。

 背の高さとか少しの違いはあるけれども、大雑把に見ればさして体躯の変わらない私たち。
 それでも今この時、私は確かに彼女の大きさを感じていた。
 優しく、けれどもしっかりと背中にまわされた腕も、私を受け止めてくれている体も、そのすべてが私よりもずっと大きな気がしていた。
 躊躇いなくすべてを預けてしまえる。
 一番弱い私を曝け出してしまえる。
 全部抱きしめてくれるから。
 優しさだけの、見返りを求めない腕。
 温かさだけの、すべてを受け止めてくれる体。
 甘えてもいいんだって、もたれてもいいんだって無言のまま囁いてくれているから。
 私はゆっくりと、彼女の背に腕を回した。
 ギュッとシャツを握りしめると、彼女は笑みをますます深くして。
 それから。
 
 「ありがとう」

 って、私が言いたかった言葉を紡いだ。



 後書き
 私のイメージとしましては、「なのはさんとフェイトさん」ですが、
 どちらが一人称かは決めておりません。
 どちらもあると思ったからです。
 皆様は、どう読まれましたか?
コメント
この記事へのコメント
イメージ的に何となくなのはさん、という感じで読んでました。が、確かにフェイトさんでもOKなんですよね…
彼女たちに感じる「甘さ」の核心部分、その一端を描かれたようで、すごくいい話だなあ、と思いました(^^)。
素敵でした。
2009/08/31 (月) 12:07:50 | URL | SI #omHXYr9E[ 編集]
Re: タイトルなし
SI 様
コメントありがとうございます。
おっしゃられる通り、一人称を確定させるような表現は意図して避けましたので、フェイトさんがなのはさんに抱きしめられていると読まれても話として成り立つ(はずの)文章ですし、もちろんなのはさんがフェイトさんに抱きしめられているとイメージして下さっても正しいわけです。読んで下さった方のなのフェイに合わせて解釈して下さると嬉しいです。その時の気分で入れ替えても楽しいかも?しれませんよw
彼女たちの関係に感ずるもの、思うこと。短い文章ではありますが、何かを読み取って下さったのならば非常に嬉しいです。
お褒めの言葉、どうもありがとうございました。
2009/09/03 (木) 21:28:47 | URL | フェルゼ #-[ 編集]
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