Empty Dumpty
ヒトもすなるぶろぐといふものを、私もしてみむとてするなり。 徒然なるままに文章を書いてみるつもりです。
left X -in a fix-
折り畳み傘の袋をなくして、
地味に凹んでます。

こんばんは
フェルゼです。

長さと書く速度は比例しないことを改めて実感しました。
遅いね…。

それでは
静かな現実、日々を取り戻したい第十話。
お付き合いいただける方は以下からどうぞ。
 どんな形でもいいと、なのはの幸せを望んだのはフェイトだった。
 どんな形でもいいと、フェイトとあることを望んだのはなのはだった。
 強すぎる願いが救うのは、いったい、誰だろうか。



 X -in a fix-



  「今日はなのはちゃんいないんですか?」
 シャマルがそうはやてに聞いたのは、先ほど見かけた演習でヴィータの姿しか見えなかったためだ。
 一時期は安定しかけて、なのはは教導にもアドバイス程度で参加していた。
 しかしあの日、フェイトと再会した日からまた、なのははデスクワークへと戻った。
 「せや。なんかもう一度だけ病院に行きたい言うからな。今は引き留める理由もないし」
 持っていた書類を放り投げてはやてが言う。
 あらゆる可能性を試すのならば、フェイトと話すこともまた、悪くない試行だと考えたためである。
 だが。
 「なのはちゃんがそれで安定してくれるといいんですけど…」
 先日のなのはの様子が頭をよぎる。
 「せやな…なのはちゃんが安定して、フェイトちゃんも戻ってきてくれたらあたしとしては万々歳なんやけど…」 
 そううまくはいかんやろうな、とはやては呟き、シャマルも小さく頷いた。

 その日の夕方。
 「だからよ、あいつらときたら…」
 「はいはい」
 補充用の器具を受け取った帰りに、シャマルはヴィータにつかまっていた。
 訓練のこと、今は現場にいない上官のこと、どうやら溜まっていたものがあったらしくヴィータの口は止まらない。
 それを軽く受け流しつつ目を向けた先。
 「あら?なのはちゃん?」
 隊舎廊下の端に、シャマルはなのはの姿を見かけた。
 疑問形になったのはなのはが珍しいケースを抱えていたためである。
 すでに姿は見えなくなってしまったが、あのケースを見間違えるはずがない。
 それは現場で採取した組織等の標本を運搬しつつ固定するためのケース。
 「おい、聞いてるのか?シャマル」
 「はいはい」
 「さっきからそればっかりじゃねーか」
 医療班や捜査班ならとにかく、なのはが持っていることにシャマルは疑問を覚えた。
 「ヴィータちゃん」
 「それで…あん?」
 「なのはちゃん…」
 「なのはがどうかしたのか?」
 どうやらヴィータの視界には入らなかったらしい。
 それならばわざわざ口にすることもないかと思い、シャマルは声をかけることなく見送った。


 「なぁ、シャマル」
 数日後。
 シャマルの元を、不意にはやてが訪れた。
 「はい?」
 「なのはちゃんな…」
 「ええ」
 「一時期は落ち着いた…思ったんやけど…最近、な」
 「フェイトちゃんに会わせてから…ですか?」
 「…あぁ。あれから、なんか様子がおかしい」
 それはもう、互いの共通理解。
 あくまでも、確認事項。
 「どこが…というわけでは、ないみたいですね」
 「どこかはよう分からん。でも、何かが変なんや…思い当ること、なんかないか?」
 尋ねられて、シャマルの脳裏に浮かんだのは先日見かけたなのはの姿。
 ケースを抱えた、その。
 「ケース?」
 シャマルの告げた言葉をはやてが繰り返す。
 「えぇ。なのはちゃんとは縁がないと思ったんですけど…」
 「標本固定用の…ケース…」
 顎に手をあてて数分。
 はっと何かに気付いたような様子で、しかし苦々しげに。
 はやては通信を繋げた。
 その先は。
 フェイトのいる、病院。
 「先日は失礼しました…それで、一つ伺いたいことがあるんですが」
 「なんでしょうか」
 挨拶を済ませてからそう切り出したはやてに、病院側の声が固くなる。
 「ハラオウン執務官が失ったのは肘までと聞いております。ということは、肘の先は…」
 「…はい。事件後、執務官様の肘から先及びそのデバイスは回収されました」
 「デバイスは間違いなく、局が保管しているでしょうが…では、腕は」
 「…希望があれば義手を作る際に使用する為、当院で、保管しておりました」
 「過去形、ですか」
 「その…先日、保管していた腕だけが紛失いたしまして…」
 「だけ、ですか」
 「はい」
 「もし、それを持ち出そうとすれば、どのような準備が要りますか?」
 「準備、ですか」
 「例えば…捜査に用いるような固定と運搬用のケースを持っていく必要がある、とか」
 シャマルの眼が、見開かれた。
 「断面が焼き崩れていたため、あの腕は固定済みでした。
  なので、改めて固定する必要はないですが…それだけの準備があれば何の問題もなく持ち出せるでしょう」
 「そうですか…ありがとうございました」
 「いえ…こちらこそ、申し訳ありません」
 「…それで、このことを局には?」
 「……いえ、その…そろそろ報告せねば、と」
 「わかりました。では、こちらから伝えておきますので」
 「あ、はい。よろしくお願いします」
 画面が消えて。
 両手で目を覆ったはやてにシャマルがおずおずと声をかけた。
 「はやてちゃん…」
 「局には…」
 「はい、内密に」

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